ケアビューティストという職種をご存知ですか?高齢者や介護が必要な方々に、美容を通じて笑顔と生きがいを届けるお仕事です。
今回は、現役ケアビューティストとして活躍する豊島さんに、介護美容の現状や課題、そして未来への展望についてお話を伺いました。
専業主婦から起業し、コミュニティの力で活動を広げる彼女の言葉から、介護美容の可能性と魅力に迫ります。
介護美容研究所の詳細や口コミを読みたい方は下記の記事をご覧ください。
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✓この記事を書いている人
当サイト管理者
・この記事を書いている僕は、15年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。
・Twitterもやってます。(@shinbloger)
もくじ
そもそもケアビューティストとは?
ケアビューティストとは、高齢者や介護が必要な方々に美容ケアと心のサポートを提供する専門職です。
具体的なサービス内容としては、スキンケア、メイクアップ、ネイルケアなど、多岐にわたる美容ケアを行います。
これらの美容サービスを通じて、リラクゼーション効果をもたらし、精神面でのサポートも提供します。
ケアビューティストの仕事内容の詳細は下記の記事をご覧ください。
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ケアビューティスト豊島さんへのインタビュー
それでは、現役ケアビューティストである豊島さんのインタビューです。
✔︎豊島さんの経歴
豊島夏奈さん
・10年間義父母との同居(脳梗塞•ALS)
・介護と子育てのトリプルケアを経験
・専業主婦からケアビューティストとして企業
・介護美容コミュニティDAO -glow up オーナー
・Instagramはこちら
ケアビューティストを志すキッカケ
──ケアビューティストを志したキッカケを教えてください。
豊島さん
約10年間義母を在宅で介護をする中で、元エステティシャンの経験を活かしたトリートメントや、趣味のジェルネイルなどを義母にもやっていました。いつも「こんな事してもらってとっても幸せ」と笑顔を見せてくれ、美容の時間が日常生活の楽しみになっているのを感じ、『お義母さん以外の人にも出来るようになったら良いな』と思ったのがきっかけです。
豊島さん
介護施設にご入居中の方へ、エステ・ネイル・メイクなどの個別の美容施術や、集団レクリエーションとして健康と美容に特化した体操を介護施設や地域のシニアに向けて行っています。
豊島さん
私は在宅で子育てと介護をやってきたので、そもそも本業が何かあったわけではありません。専業主婦から、介護が終わったので起業に至りました。
ケアビューティストの仕事のやりがい
──ケアビューティストの仕事で最もやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
豊島さん
美容のケアをする中でご利用者さまと気持ちを通わせ、心の変化が笑顔と行動に現れた時です。日頃無表情で言葉もなかなか発しない方がキラキラとした笑顔でお話しされたり、背筋がピンッと伸びてイキイキとされたり…
ご本人が幸せな時間を過ごされる事はもちろんですが、ご家族や施設スタッフの皆さまと笑顔の時間を共有できる瞬間に最もやりがいを感じます!
豊島さん
施設入居を機に何十年も続けて来たネイルを諦めてしまっていた方が、私が介入させていただく事によりご自分らしさを取り戻されました。日常的に選択の機会やご自分のやりたい事をする時間が減り、どこか物足りないと感じつつも諦める事にも慣れていたそうですが、「やっぱりネイルしている私が一番私らしい!」と喜んでくださり、お役に立てた事が私もとても嬉しかったです。
豊島さん
やはり、別れでしょうか…。いつも通りに次回のお約束をし、元気にお別れしたご利用者さまが突然お亡くなりになった事がありました。「次回のネイルはこの色にするわ!この色綺麗ね〜」と仰ってとても楽しみにされていて…
元気にお会い出来て一緒に過ごせるのは当たり前ではない…という事をとてもリアルに感じたと同時に、よりお一人お一人との時間を大切に過ごそうと改めて思う出来事でした。
ケアビューティストとの現状や課題
──ケアビューティストの仕事で困難を感じる点や課題はありますか?
豊島さん
高齢者や要介護のご利用者さまが相手の美容なので、お一人お一人の既往歴や現在のご病気はもちろん、常に体調や表情の変化に気を配りながらのケアになります。
喜んでいただきたいという“想い”だけではなく、人生に寄り添う覚悟と責任を持って、美容以外の知識や技術も身につけケアビューティストとして成長する必要があると感じています。
また、今はまだ介護美容の“社会的な価値”は確立出来ていないと痛感しています。大勢のケアビューティストが誕生する中、仕事として活動出来ている人は正直少ないのが現状なので、これは業界全体での課題ではないでしょうか。
豊島さん
介護美容というジャンルが、まだ介護業界にすら広く認知されてはいないと感じています。必要とされる職業として確立させる為に、ケアビューティスト個人で発信し行動して頑張っている人は頑張っています。
でも、個人で広げて行くには範囲も狭く時間がもの凄くかかる…。私はコミュニティに所属していますが、そのおかげで大きな企業様とも繋がりを頂けているので、どこに身を置き誰と繋がるか…もケアビューティスト一人一人が考えて動かなくてはいけないと思います。
豊島さん
具体的な人数は私にも分かりません。ただ資格保持者の人数からすると数パーセントじゃないでしょうか?
豊島さん
稼働日数や時間から考えると悪くはないですが、まだまだ扶養を外れないラインです。
豊島さん
個別施術の訪問の他に、集団レクリエーションや地域・施設での健康美容体操の講師としても活動していますが、稼働日数でいうと月に6〜7日です。
介護美容研究所での授業やカリキュラムについて
──介護美容研究所での授業やカリキュラムで、特に印象に残っているものはありますか?
豊島さん
納棺師の先生の授業とエンゼルメイクです。ご高齢者の笑顔の為にケアビューティストを志しましたが、この授業で人生最期の時にどう送り出す事が出来るか…そしてご家族さまとの関わりなども学び、介護美容の新たな価値を知りました。
私の母が6月に亡くなったのですが、母から頼まれていたのでエンゼルメイクをしました。しっかり教えていただいたおかげで、看護師さん達にも絶賛していただけた程、母らしい姿で送る事が出来ました。
豊島さん
本来エンゼルメイクは、看護や介護現場でお看取りした瞬間以外は納棺師がやるものです。ケアビューティストがエンゼルメイクをする機会があるとしたら、ずっと担当して来たお客さまのご家族様から依頼される場合ではないかと思います。
そのくらいの信頼関係が築けて、人生の幕引きに花を添えられるケアビューティストになれたら最高ですね。
豊島さん
学んだ内容にギャップというより、やはりご高齢者様のお肌も体調もお一人お一人本当に違って。美容だけではなく、ご病気からくる症状も知識としてしっかり学ぶ必要性を感じます。
「医療系の資格がらないから知らなくて良い」というのは違うと思っていて…努力が必要ですね!
豊島さん
ケアビューティストと名乗れるのは、介護美容研究所を卒業したセラピストだけです。他の協会などでも、介護美容のセラピストになるには必ず高齢者に特化した美容を学ぶ必要があります。
安全安楽なケア、心身ともに関わり方や配慮するポイントが若くて元気な方とは違います。ただ美容をするのが介護美容ではないという事からしっかり学ぶべきではないでしょうか。
介護美容研究所の学費について
──介護美容研究所の学費について、率直な意見を聞かせてください。
豊島さん
正直…金額としては高いと思います(笑)ですが、それをただ高いと思うか価値を感じるかはそれぞれではないでしょうか?
私は介護美容研究所で学べてよかったと思っています!
介護美容研究所を卒業後のキャリアパス
──介護美容研究所を卒業してからのキャリアパスや、現在のポジションに至るまでの経緯を教えてください。
豊島さん
私は現在、介護美容セラピストの為のコミュニティである『介護美容DAO』の中の、学生や卒業後のゼロイチを目指すメンバーが所属する“glow up“というコミュニティのオーナーを務めさせていただいています。
私も卒業後を見据えて在学中からコミュニティに所属して、アンバサダーとしても活動をしてきましたが、実際に現場で活躍するメンバーやセミナー講師からの様々な学び、自分自身もしっかりアウトプットする中で、少しずつ積み上げて来れているなと実感しています。
行動し続けるには、どこに身を置きどんな仲間と切磋琢磨できるかがとても重要です。成長できる環境で日々の活動をする事で、思ってもみなかったチャンスを得られていると実感しています。
豊島さん
いずれも専門的な知識と資格が必要ですが、実際にキャリアチェンジする方(逆も然り)は多数いらっしゃいます!
ケアビューティストしての今後のビジョン
──今後、ケアビューティストとしてどのような目標やビジョンを持っていますか?
豊島さん
私の介護美容のテーマが『どんな時も自分らしく』と『人生への寄り添い』です。人生の様々なフェーズに関わっていく美容が介護美容だと思うので、アクティブシニアの介護予防でもっと地域のお役に立てる様になりたいのと、人生の最期に向けて少しでも穏やかに過ごせる様、終末期のケアにも関わらせていただきたいです!
まとめ
今回は、現役ケアビューティストである豊島さんにインタビューを行いました。
豊島さん、お忙しい中ご回答いただき、誠にありがとうございました。
ケアビューティストは、高齢者や要介護者に美容を通じて笑顔と生きがいを届ける重要な存在です。
しかし、まだ社会的な認知度は高くなく、生計を立てるのも難しい職種であることもわかりました。
それでも、豊島さんのように情熱を持って活動されている方々がいます。
インタビューを通じて、「豊島さんならきっと成功するだろう。ケアビューティストの知名度や価値を広めてくれるだろう。」そんなふうに思わせてくれました。
今後の豊島さんのご活躍を心より応援しています。
今回は以上です。