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介護の仕事

ノーマライゼーションとは?中学生でも分かるように解説

ノーマライゼーション

ノーマライゼーションという言葉知っていますか?

介護においてノーマライゼーションは大切にすべき理念に一つです。

 

「聞いたことがない」

「聞いたことはあるけど、いまいち意味がわからない」

そんな方がほとんどだと思います。

 

この記事では、ノーマライゼーションの考え方や歴史、取り組みについて中学生でも分かるように解説していきます。

記事を読めば、ノーマライゼーションについて理解が深まるはずです。

 

この記事を書いている人

この記事を書いている僕は、10年以上の介護経験がある現役の介護士です。

介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。

Twitterもやってます。(@shinbloger

ノーマライゼーションの定義と考え方

ノーマライゼーションとは、「障がいを持つ人も障がいを持たない人も、平等に生活できる社会にしていこう」という理念です。

英語で「normalization」とは「標準化・正常化」、または「常態化」という意味があり、「以前は特異と思われていたことがあたりまえの状態になっていること」、という意味を含んでいます。

 

この意味をノーマライゼーションに当てはめると、「障害がある人を変える」という意味ではなく、彼らがありのままで健常者とともに生活ができるように「周りが変わる」という視点になります。

 

ノーマライゼーションは北欧デンマーク発祥

ノーマライゼーションの理念が発祥したのはデンマークです。

デンマークの社会省にいて知的障害者施設の担当になったニルス・エリク・バンク-ミケルセンが提唱しました。

 

第二次世界大戦終了後の1950年代のデンマークにおいて、知的障害者の施設の中で、彼らが非人間的な扱いを受けていることを知ったその親たちによる、この状況を改善しようという運動が起こりました。

それがキッカケで、当時、社会省の知的障害者施設の担当だったN・E・バンク-ミケルセンが「どのような障害があろうと一般の市民と同等の生活と権利が保障されなければならない」という考え方を提唱したのです。

 

その後、1959年にデンマークの法律として成立します。

 

ノーマライゼーション8つの原理

スウェーデン知的障害児者連盟のベンクト・ニィリエは、そのノーマライゼーションの理念を整理し、以下の8つの原理を定義しました。

・1日のノーマルなリズム

・1週間のノーマルなリズム

・1年間のノーマルなリズム

・ライフサイクルでのノーマルな発達的経験

・ノーマルな個人の尊厳と自己決定権

・その文化におけるノーマルな両性の形態すなわちセクシャリティと結婚の保障

・その社会におけるノーマルな経済的水準とそれを得る権利

・その地域におけるノーマルな環境水準

 

彼がこれをアメリカにも広めたことで、この考え方が世界中に広まることになりました。

 

ノーマライゼーションの父

のちに、ノーマライゼーションの理念を提唱したニルス・エリク・バンク=ミケルセンは、「ノーマライゼーションの父」または「ノーマライゼーションの生みの親」と呼ばれるようになります。

そして、ノーマライゼーションの原理を定義し世界中に広めることに貢献したベンクト・ニィリエのことを「ノーマライゼーションの育ての親」と呼ばれるようになりました。

 

日本におけるノーマライゼーションの取り組み

日本では、1981年「国際障害者年」をきっかけに認識され、これまでに政府が施策を実施してきました。

政府は、「ノーマライゼーション7か年戦略」を掲げて、1990年代に障害者の社会的自立やバリアフリー化の促進などに関して、具体的な施策を行ってきました。

具体的には、グループホームの増設、障害者の社会的自立をすすめる雇用の促進、障害者の活動を広めるバリアフリー化などです。

 

国や自治体だけでなく、民間企業やNPO法人など多くの団体が活動に参加し、教育や福祉、介護といった分野だけでなく、あらゆる領域においてノーマライゼーションの考え方が浸透し始めています。

 

介護の現場におけるノーマライゼーション

ひと昔前の介護の現場では、特別養護老人ホームのような大型の老人ホームが多く、介護が必要になった高齢者が入居し大人数で生活をしている施設がほとんどでした。

当時の特養では、タイムスケジュールに合わせて生活するため、入居者の個人の要望は通りにくく、在宅での暮らしのような生活を施設で続けることは不可能でした。

 

しかし、ノーマライゼーションの理念がより浸透したことで、定員10人以下程度のグループホームが増え、一人ひとりに個室があるなどより自宅で過ごしているような環境を整えている施設が増えました。

 

その結果、介護が必要になった高齢者もこれまでと同様の暮らしをできる限り維持することが可能になりました。

 

身近なノーマライゼーションの例

身近なノーマライゼーションの例として、バリアフリー化があります。

車椅子でも走行できるように、あらゆる場所で段差や障害物が減らされています。

また、車椅子利用者専用のトイレ、エレベーターの整備も進んでいます。

 

他に例をあげると宅配サービスです。

障がい者や高齢者など移動に難がある方は、外出して買い物をすることが難しい。そこで、家に商品を届けてくれる宅配サービスが活躍します。

 

ノーマライゼーションの課題と問題点

これまで、ノーマライゼーションに基づいたさまざまな取り組みが行われてきましたが、ノーマライゼーションを進めていく上での課題や問題点も生じています。

 

それは、一般レベルまでノーマライゼーションが浸透していない点です。

ノーマライゼーションの理念は、福祉関係や看護、介護に携わる方であれば知っている方は多くなってきましたが、一般レベルではまだまだ広まっていないのが現状です。

そのため、障がい者を地域で受け入れる制度や仕組み、雇用が遅れている地域も多くあります。

 

それを改善するには、世間一般にノーマライゼーションの理念が浸透する必要があるんです。

 

まとめ

今回は、ノーマライゼーションの定義や考え方、その歴史や実例を紹介しました。

 

ノーマライゼーションとは、「障がいを持つ人も障がいを持たない人も、平等に生活できる社会にしていこう」という理念です。

現代の介護の現場の根本となっている考え方なので、介護職は知っておく必要があります。

この記事がノーマライゼーションの理解に役立てば幸いです。

 

今回は以上になります。

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