
■お別れサインって、具体的にどんな変化?
■夜勤中の「いつもと違う」何を見ればいい?
■家族に共有すべき変化ってどれ?
■看取りケアってどうすればいいの?
そんな悩みにお答えします。
看取りの場面は、介護職なら誰でも緊張します。
しかも夜勤中は看護師が不在の時間も多く、自分の判断で“変化”を見つけて報告しなければなりません。
だからこそ、「何を見ればいいのか」「どの変化を共有すべきか」を知っておくだけで、現場での不安はグッと減ります。
僕自身、介護職歴17年の現役介護職として働き、これまで何度も看取りのケアに関わってきました。
この記事では、介護職が押さえておくべきお別れサイン6選を、現場でよくある具体例と一緒にわかりやすく解説します。
知識を持っておくだけで「気づき→報告→ケア」がスムーズになり、本人にも家族にも、より安心して寄り添えるようになります。
✓本記事の信頼性
もくじ
お別れサイン6選
早速、お別れサインを紹介します。
食事・水分が入らない
お別れが近づくと、食事量・水分量が少しずつ落ちていきます。
口を開けない、噛む力が弱い、飲み込みに時間がかかる、むせが増える、口にためこむ──といった変化が見られるようになります。
食事や水分が取れなくなると、状態は一気にガクッと落ちます。
実際に、頬がこけたり目がくぼんだりして、見た目にも変化が出てきます。
僕が働く現場でも、食事が取れなくなってから1週間で亡くなられた方を経験しました。
眠っている時間が増える
お別れが近づくと、日中に眠っている時間が増えていきます。
老衰や病気の進行によって意識レベルが少しずつ低下し、体力だけでなく脳の働きも弱くなっていくためです。
初めは「ウトウトする時間が増えた」程度でも、徐々に覚醒している時間が短くなり、声をかけても反応が弱くなります。
最終段階では、呼吸が浅くなる、嚥下困難、チアノーゼなど、身体的な変化も現れることがあります。
排泄の調節が難しくなる
お別れが近づくと、食事・水分摂取量の減少により、排泄回数や量も少しずつ減ります。
体力低下により腹筋や腸の動きが弱まり、いきむ力が落ちるため、便秘になりやすいです。
便が腸に溜まると腹部膨満(お腹の張り)や腹痛の原因になるため注意が必要です。
身体の拘縮がすすむ
看取りが近づくと筋力が低下し、関節を動かす機会が減るため、身体の拘縮が進みます。
肘や膝が曲がったまま伸びにくい、手指の握り込みが強い、体位変換で痛がるなどの変化が見られます。
拘縮が進むと、オムツ交換や更衣、体位交換(体交)もやりにくくなります。
呼吸やバイタルが不安定になる
看取りが近づくと、呼吸やバイタル(脈・血圧・体温など)が不安定になりやすいです。
これは体力や循環機能が低下し、身体調整がうまくできなくなるためです。
具体的には、呼吸が浅い・速い・不規則になる、痰がからんでゴロゴロ音が増える、息が止まったように見えて再開するなどの変化が見られます。
また脈拍が速くなったり弱く触れにくくなったり、血圧が上下しやすい、発熱や低体温が出ることもあります。
独特な口臭や体臭がする
看取りが近づくと、独特な口臭や体臭が強くなることがあります。
これは、食事や水分摂取量の低下により口の中が乾燥し、唾液が減って細菌が増えやすくなるためです。
また体力低下で代謝が落ち、汗や皮脂の状態が変化することで、普段と違うにおいを感じる場合もあります。
僕自身、現場で何度も看取りに関わってきましたが、独特なにおいが出てきたときは「お別れが近いな」と感じることが多いです。
看取りの期間はどれくらい?
看取りの期間は、誰でも同じではありません。
食事・水分がどれくらい取れているか、また点滴(補液)をしているかどうかなど、その時の状態によって変わります。
食事・水分あり(少しでも口からとれる)
食事や水分が少しでも口から取れている場合、看取りの期間は比較的ゆっくり進みます。
少量でも栄養と水分が入ることで体力が保たれやすく、「良い日・悪い日」を繰り返しながら経過するケースも少なくありません。
そのため、看取り期間が1〜2ヶ月以上に及ぶ方もいます。
点滴あり
点滴を行っている場合は、体の中に水分が入るため急激に状態が崩れにくく、看取りの期間が長くなります。
摂取が難しくても脱水が進みにくいため、期間の目安は数週間〜1ヶ月程度です。
一方で、むくみが強くなる、痰が増えて呼吸が苦しそうに見えるなど、別の負担が出ることもあります。
何もなし
点滴もなく、食事や水分もほとんど取れない状態になると、状態は急激に落ちていきます。
体の中に水分が入らないため脱水が進みやすく、眠っている時間が増え、反応が弱くなっていきます。
こうした状態になってから数日〜1週間程度が目安です。
看取り期間に介護職ができること
さいごに、看取り期間に介護職ができることを紹介します。
身体的ケア
看取り期間の身体的ケアで大切なのは、延命のために何かをすることではなく、本人の苦痛(つらさ)をできるだけ減らし、穏やかに過ごせる環境を整えることです。
たとえば、呼吸がラクになるように上体を少し起こしたり横向きにしたりと、体位を調整するだけでも負担が軽くなる場合があります。
また、食事や水分が取れなくなると口の中が乾きやすく、強い不快感につながるため、保湿を意識した口腔ケアが重要です。
スポンジブラシや保湿ジェルを活用し、無理のない範囲で清潔と潤いを保ちましょう。
さらに、筋力低下や拘縮が進むと体位交換やオムツ交換が難しくなり、褥瘡(床ずれ)リスクも高まります。
踵や仙骨など圧がかかりやすい部位を中心にクッションで圧を分散し、皮膚状態をこまめに観察することが大切です。
痛みや呼吸苦、発熱など変化が強い場合は、早めに看護師・医師へ報告し、チームで対応しましょう。
精神的ケア
看取り期間の精神的ケアで大切なのは、何か特別な言葉をかけることではなく、「安心できる時間」を増やすことです。
体力や脳の機能が低下してくると、本人は不安や混乱を感じやすくなります。
だからこそ介護職は、急かしたり説明を長くしたりせず、短く落ち着いた声かけで寄り添うことが重要です。
たとえば、「○○さん、そばにいますよ」「大丈夫ですよ」といったシンプルな言葉だけでも、表情がやわらぐことがあります。
反応が少ない場合でも、声が届いていることは多いため、目線を合わせてゆっくり話し、手を握る・背中をさするなどのタッチング(触れるケア)を取り入れるのも効果的です。
家族のケア
看取り期間の家族ケアで大切なのは、家族の不安を軽くし、後悔を少なくすることです。
家族は「今どんな状態なのか」「何が起きているのか」が分からないだけで、強い不安に襲われます。
そこで介護職は、変化を難しい言葉で説明するのではなく、短く整理して伝えましょう。
たとえば「眠る時間が増えています」「食事がほとんど取れなくなっています」といったように、今起きている事実を落ち着いて共有します。
お別れサインのまとめ
お別れサインは、利用者さんの「最期が近い」という事実を突きつけるものではなく、穏やかに寄り添うための準備のサインです。
お別れサインをもう一度確認しておきましょう。
重要なのは、「このサインが出たから何日後に亡くなる」と決めつけないことです。
看取りは一人ひとり違い、良い日と悪い日を繰り返しながら進むこともあります。
介護職に求められるのは、変化を怖がることではなく、小さな変化に気づき、記録し、チームに共有することです。
今回紹介したお別れサインを、ぜひ現場での観察の軸として活用してみてください。
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