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介護の仕事

介護の24時間シートを活用するメリット・デメリット

24時間シート

悩む人
■手間のかかる24時間シートを作るメリットは何ですか?

■職員に24時間シートを作る必要性をうまく説明できない。

■24時間シートの活用法が知りたい。

介護施設では、利用者一人一人のライフスタイルに合わせた個別ケアが進められています。

そこで便利なのが、今回紹介する24時間シートです。

 

とはいえ、手間のかかる24時間シートを作成する目的や活用法がわからなければ、作ったとしても無駄となってしまいます。

 

この記事では、24時間シートのメリット・デメリットだけでなく、活用法まで解説します。

記事を読めば、24時間シートに対する疑問が解消されるはずです。

 

本記事の信頼性

この記事を書いている僕は、10年以上の介護経験がある現役の介護士です。

介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。

Twitterもやってます。(@shinbloger

24時間シートの目的

近年、介護業界ではユニット型施設が増えてきており、利用者一人ひとりのライフスタイルに合わせた個別ケアを大切にしています。

 

しかし、個別ケアを提供するとは言っても、そう簡単ではありません。

利用者さんによって寝る時間や起きる時間、好みやこだわりはさまざま、それを職員全員が把握していないと個別ケアは提供できません。

そこで便利なのが「24時間シート」です。

 

利用者さんによって、飲みたいモノや好みは違います。

例えば、Aさんは紅茶が飲みたい、Bさんはコーヒーが飲みたい、Cさんは常温のほうじ茶が飲みたいなど。

それぞれの好みやこだわりを24時間シートに記録しておくことで、利用者一人ひとりに満足した暮らしを営んでもらうことが24時間シートの目的です。

 

とはいえ、24時間シートに書かれていることを必ずやらないといけないわけではありません。

日によって利用者さんの飲みたいモノだって変わります。

あくまで、好みやこだわりを職員全員で共有し「どうしたら一人ひとりの生活をサポートできるか」などの課題・目標を理解するための、現場サイドのツールです。

 

24時間シートのメリット

24時間シートを活用するメリットは4つあります。

 

一つめは、個別ケアの質を高められるです。

かつては、一斉に起床介助、一斉に就寝介助、提供する飲み物はみんな一緒が当たり前でした。

とはいえ、利用者一人一人の好みやこだわり、起きる時間や眠る時間は違います。

24時間シートに記録し活用することで、満足できる暮らし「個別ケア」を高めることができます。

 

二つめは、ケアの標準化ができるです。

職員Aはいつも緑茶を出してくれる、職員Bは好みのコーヒーを出してくれるといったように、職員によって介護サービスが異なると利用者さんは混乱しますよね。

24時間シートを活用することで、”職員によって提供する介護サービスが違う”といったことを防ぐことができます。

 

三つめは、人員の効率的な配置ができるです。

1ユニット10人の24時間シートができあがれば、この曜日のこの時間帯は、入浴が多いから人手が必要とか、この時間帯は人手がいらないといったモノが見えてきます。

そのため、必要な時に必要な人員をあてて、不必要な時は人員を減らすことができ、人員の効率的配置が進められます。

その結果、介護職の肉体的精神的負担も軽減できます。

 

四つめは、急な欠員への対応が容易になるです。

24時間シートには、一人一人に必要なケアや時間までが記録されています。

そのため、急な欠員で応援にきた外の職員や新人職員といった情報不足の職員でも、24時間シートを見れば必要なケアが提供できます。

なので、急な欠員がでても容易に引継ぎができるんです。

 

24時間シートには、上記のようなメリットがあります。

 

24時間シートのデメリット

つづいて、24時間シートのデメリットを解説します。

 

24時間シートのデメリットは、とにかく手間がかかることです。

利用者全員分、24時間にわたって記録していくとなると手間がかかります。

24時間シートの理解が出来ていなければ、職員は反発するし協力もしてくれません。

 

協力を得られず活用で切れなければ、すべて無駄となってしまいます。

なので、職員一人一人に24時間シートの意義や目的をしっかり伝えていくことが大事となります。

 

24時間シートの参考例

つづいて、24時間シートの参考例を紹介します。

24時間シート 介護花子さん
時間 生活リズム 意向・好み 自分でできること サポートが必要なこと
7:00 起床
・テレビを見る
・電気を点ける
・目覚めても10分ほどはベッドに入っていたい。 ・電気とテレビを点ける ・起きるかどうか、声をかけて確認する
7:10 トイレ ・起きるとすぐにトイレに行きたい ・手すりを使って立ち上がる
・車椅子に移る
・起きるかどうか、声をかけて確認する
・車いすからトイレへの見守り。
着替え ・カーディガンを羽織る ・着替え ・パジャマから洋服へ着替え
・どのカーディガンを着るか確認の声かけ
リビングに行く ・車椅子で自走できる ・テレビと電気を消し、カーテンを開ける
7:30 朝食 ・パンと一口大が食べやすい
・朝は牛乳が飲みたい
・テレビでニュース番組をみたい
・皆で一緒に食事をしたい
・テレビを点ける ・テレビのリモコンを手元に置く
・レンジで牛乳を温め、手元に置く
・朝食を置く

一部ではありますが、僕が以前勤めていた介護施設の24時間シートはこんな感じでした。

 

利用者さんに聞いたり、実際のしている介助から24時間シートを記入していきます。

内容としては、「時間」「生活リズム」「意向・好み」「自分でできること」「サポートが必要なこと」の項目があれば十分だと思います。

 

24時間シートの活用法

24時間シートを作ったはいいけど、個人ファイルの閉じられて、書棚に閉まわれて誰も見ないのでは意味がありません。

24時間シートは活用してこそ、力を発揮します。

 

24時間シートを上手に活用するために2つポイントがあります。

 

一つめは、24時間シートの一覧表を作るです。

具体的には、1ユニット10人分の24時間シートを一目でみれるように一覧表を作ります。

24時間シート一覧表
介護花子さん 山田太郎さん 鈴木たえさん 山口次郎さん
7:00 起床
7:10 トイレ
・車椅子からトイレ見守り
着替え
・カーディガンを選ぶ
起床
食前薬を渡す
リビングに行く 起床
・カーテンを開け、洋服へ着替える
7:30 朝食
・パンと一口大
・牛乳提供
起床 
・起きるとトイレに行く
朝食
お粥と刻み、禁食卵
・一部食事介助
朝食
・白米と常食

上記のように1ユニット10人分の一覧表を作ることで、一目でその人その人に必要なケアが見えるようになります。

情報は膨大になるので、A2サイズがおすすめです。

 

また、服薬は赤、禁食は黄色と言ったルール決めを作ることで見やすくすることもできます。

 

二つめは、一覧表をみんなが見る位置に置くです。

せっかく作った一覧表も誰も見ないなら意味がないんです。

常に、みんなが見る位置においておくことが大事です。

僕の施設なら、キッチンにA2のポスターフレームにいれて置いてありました。

 

この2つを実践すれば24時間シートを上手に活用できるはずです。

 

24時間シートと介護サービス計画書の違い

ここまで、24時間シートについて説明してきましたが、介護サービス計画書との違いが分からない方もいると思うので、軽く違いについて触れておきます。

 

24時間シートは、利用者さんが希望することや職員が個別ケアを提供するための記録するもの。

いわゆる、デマンド(要望)です。

 

一方、介護サービス計画書は、心身状態の維持や改善に必要なことを記録するもの。

いわゆる、ニーズ(必要)です。

 

まとめ

今回は、24時間シートのメリット・デメリットから活用法まで解説しました。

 

本記事のおさらい

24時間シートのメリット

・個別ケアの質を高められる

・ケアの標準化ができる

・人員の効率的な配置ができる

・急な欠員への対応が容易になる

 

24時間シートの活用法

・一覧表を作る

・一覧表をみんなが見る位置に置く

 

24時間シートの作成には手間がかかります。

手間がかかるモノに対して、職員の賛同を得るには苦労があります。

とはいえ、24時間シートを活用できれば、大きなメリットもあります。

 

さいごにもう一つ伝えると、24時間シートの理解を深めるなら実際に見てみるが一番です。

24時間シートを実践している施設を見学して、働いている職員の話を聴くことかと。

 

今回は以上になります。

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