そんな悩みにお答えします。
✔本記事の内容
・シーン別の認知症のケアを3つ紹介します。
本日の記事では、
認知症の人の気持ちがよくわかる聞き方・話し方
こちらの書籍を参考にさせていただきました。
★この記事の信頼性★
この記事を書いている僕は、介護士歴10年、現在も認知症対応型通所施設に勤務しており、日々認知症の人のケアを行っています。現場で培ったノウハウですので、信頼性が保たれています。
✔こんな方におすすめ
・認知症について理解を深めたい人
・認知症のケアについて知りたい人
・介護施設で働いている看護師や介護士
というわけで最後までご覧いただければ幸いです。
シーン別認知症のケアの方法5つ
日々の生活の中で、適切なケアができていて、認知症の人と信頼関係が気づけていれば、認知症の人も穏やかに過ごすことができます。傷つきやすかったり、心が折れやすいのが認知症の人です。認知症の人の気持ちが前向きになるように、日々のケアを工夫しましょう。
いつもの時間に起きてこない人のケア(起床)
ケアのポイント
➀部屋に入る時は必ず3回ノックをしましょう。
※この音で、おじいさんの意識が扉に向きます。
②必ず、名前を呼ぶ。
まだ眠りの中にいる時でも、自分の名前を呼ばれると、ふと意識がそちらに向くときがありませんか。朝、話しかける時は、その人の名前を呼びましょう。「〇〇さん、おはようございます。」びっくりさせては、いけないので部屋の入り口やその人の足元など、大きな声をださなくても聞こえる離れた位置から声をかけましょう。次に、手を触れるくらいまで近づき、目を見て、自分の名前を言いましょう。「〇〇です。おはようございます。」
③時間を伝える。
見当識障害があると、「朝ですよ。」とか「起きてください。」と言われても理解できないことがあります。「朝の7時です。」と時間を伝えましょう。長年の経験から、起きる時間であることを理解できる人が多いです。
④カーテンを開けて、太陽の光を部屋に入れる。
太陽の光を浴びるとメラトニンという物質が分泌されて目が覚めると言われています。窓のある部屋ならカーテンを開けて、太陽の光を部屋にいれましょう。自然な目覚めを促すことができます。ただし、「カーテンを開けてもいいですか?」と確認しましょう。「嫌だ。」というなら避けましょう。
⑤声をかけてもまだ、眠そうにしているなら一旦退室する。
「まだ眠いですか?また来ますね」と言って退室しましょう。再度訪ねて、それでも起きないようなら、原因を考えましょう。
「朝ごはんの支度が出来ました。」という声かけがあると「朝ごはんを食べる。」という起きる目的ができます。自然に目が覚めて、スムーズな起床を促せるでしょう。「朝、自分で起きて、次の行動にうつせる。」というのは一つの能力です。介護者の都合で、無理やり起こす行為は、その能力を奪う行為です。そこで、その人が起きたくなる声かけを工夫しましょう。たとえば、お出かけが好きな人なら「いい天気ですね。ご飯を食べたら散歩に出かけましょう。」カラオケが好きな人なら「今日はカラオケを一緒にやりましょう。」など気持ちが前向きになる声かけを考えましょう。
暑い日でも厚着をする人のケア(更衣)
ケアのポイント
➀着替えや整容は難しいことと知る。
見当識障害があると、場所や時間が分からず、着替える必要性を感じていないかもしれません。また、実行機能障害があると、着替えているつもりが、うまく着れず「イライラする」「あきらめる」といったことが心の中で生まれます。認知症の人にとって、「着替え」は難しいことなのです。難しいといってあきらめてしまうとより一層能力が衰えます。苦手なことはサポートしていきましょう。
②話を聴き、観察して苦手なことをさぐる。
着替えや身だしなみを整えるのに苦手なことは人それぞれ違います。その人の苦手を観察しましょう。たとえば、
・季節や時間に合わせて服を選ぶのが苦手。
・下着から順番に着るのが苦手。
・ズボンを上着として着てしまうなど見たものが何か理解するのが苦手。
・関節が硬くなっているなど、身体に不調がある。
・面倒くさいという気持ちがある。
その人の苦手を把握して、できないところはサポートしましょう。
高齢になる体温調節が難しくなってきます。また、見当識障害があると、季節が分からなくなり、夏でもたくさん着こんでしまうことがあります。そんなときは、「素敵なセーターを着ていますね。」「何枚も着ていますね。」と今、どんな服装なのか伝えましょう。衣類の調整をしたいときは、「今日は暑くなるから、下着を減らしましょう。」など声をかけてあげましょう。
「こんなもの食べれるか!」と怒る人のケア(食事)
ケアのポイント
➀食べる力を維持するケア
認知症になると、「摂食困難」があらわてきます。それは、認知症の症状によるものですが、ケアの工夫で食べる力を維持することが可能です。それにもかかわらず、ケアをせずほったらかしにしたり、業務をこなすことを優先して、「早く食べてください。」とか「食べてくれないと困ります。」など強制したり非難する言葉を使っていませんか?
このようなケアでは、認知症の人のストレスがたまり怒ったり、茶碗をひっくり返すといった行為がすることがあります。
本来食べることは、楽しいことです。認知症の人の摂食困難を理解して、苦手をサポートするケアをしましょう。
②その人が持つ摂食困難を理解する。
摂食困難には、大きく分けて3つあります。
・摂食開始困難…食べ物だと認識できない(失認)、どれを食べていいかわからない、口に痛みがある、ふりかけを虫と誤認する。
・食べ方の困難…一口の量をすくうことができない、食べるペースが早くて喉につまってしまう、ひとつの食器からしか食べない、
・摂食の中断…食事中に立ち上がる、他の注意が向いてしまう、眠ってしまう、食べるのに時間がかかり、疲れてしまう。
どのような摂食困難があるのか、話したり、観察することで理解しましょう。
田中さんは、自宅でお膳にのせて食べる習慣がなかったため、食事と認識できなかったのかもしれません。また、慣れていない場所で、混乱士と様子です。一品ずつ説明してあげることで食事を認識できるようになり、食事をとることができるようになりました。