そんな疑問にお答えします。
✔本記事の内容
・介護業界の離職率(勤続年数別、法人格別)おまけに他業種との比較
・現役介護士の悩みからホントの離職理由をひもとく
離職率とは、一定の期間内に社員(職員)がどれくらい離職(退職)したかを示す指標です。これから就職活動をする若者にとっては、会社や業界の離職率は気になるところです。
くさい、きたない、給料が安いの3Kの”介護業界は離職率が高い!”そんなイメージが世間一般では定着しているのではないでしょうか。介護業界の離職率はいったいどれくらいなのか。今現在の実像を記事にしました。
もくじ
介護業界の離職率(勤続年数別、法人格別)おまけに他業種との比較
介護業界の離職率を、勤続年数別や法人格別、事業所規模別に抽出しています。また他業種との利欲率の比較も行いました。
離職率のデータは図表解説 介護労働の現状について(pdf)を参考にしています。平成30年度のデータになります。
介護業界の採用率と離職率
訪問介護(ヘルパー)と介護職員(施設勤務)の1年間(平成29年10月1日から平成30年9月30日まで)の採用率は18.7%、離職率は15.4%でした。上のグラフを見てわかるとおり離職率は実は徐々に減少しています。
離職率の減少の要因としては事業所における労働環境が改善され、人材の定着が図られてきていることが挙げられます。いわゆる介護業界全体で企業努力が進んでいて、働きやすくなってきています。
他業種との離職率の比較
介護業界の離職率は15.4%雇用動向調査の産業計は14.9%で、0.5ポイント介護業界が上回りました。生活関連サービスや宿泊、飲食サービスと比較すると、介護業界の離職率は随分低いことがわかります。
実は介護業界の離職率はめちゃくちゃ高いわけではないということが分かります。
離職者の勤続年数の内訳
離職者を勤続年数の内訳で見ると、2職種の合計で1年未満の人が、約4割近く離職しています。また、勤続3年未満の離職者を合計すると約6割強となり、離職率を引き上げているのは勤続年数3年未満の人が要因となっています。
教育や研修等において、入職3年未満の職員への対応が必要であることがわかります。
事業所規模別離職率
事業所規模別離職率を見ると、事業所の規模が大きくなればなるほど、離職率が低下しています。大きな事業所ほど労働環境がよいということが分かります。
法人格別の離職率
法人格別とは、民間企業、社会福祉法人、NPOなどで区別したモノです。
法人格別の離職率をみると、民間企業が運営する介護施設の離職率が高いことがわかります。
離職率をいろんな視点から、見てみました。以外にも介護業界の離職率はそれほど高くないことがわかりました。しかし、課題としては勤続3年未満の入職者に対する、教育や指導の体制づくりが介護業界では、弱いことが浮き彫りになってます。
労働条件の悩みや不安、離職の理由
介護業界で働いている人の悩みや不安から離職の理由を深堀してみます。
労働条件の悩みや不安、不満
労働条件の悩みや不安、不満のデータをみると、「人手不足」がかなりのウェイトをしめていることがわかります。「休暇がとりにくい」「有給休暇がとりにくい」という不満も潜在的には人手不足の影響によりますね。離職率は、徐々に下がっているとはいえ、介護業界の人手不足は慢性的に続いています。事実、僕の施設も人手不足で皆残業しています。人材をいかに確保できるかが、労働環境の改善につながります。
介護の離職した理由
離職の理由で職場の人間関係が20%を超えています。介護の仕事はチームでやる仕事なので、共に働く同僚とは蜜にコミュニケーションをとる必要があります。そんな中で、考え方の違いや軋轢が生まれ、精神的に参ってしまうようです。
また、人間関係は同僚だけでなく、入居者(利用者)との関係性もあります。中には高圧的な入居者もいれば、職員に嫌がらせをする入居者もいます。こういった状況により、離職する職員も存在します。
結婚、妊娠、出産、育児のために18%の介護士が離職しています。介護業界では、育児休暇などの福利厚生がまだまだ弱いことをあらわしています。
離職率が高くてもメリットはある
離職率が高いとよくないイメージがつよいですが、実は離職率が高いことによるメリットが2つあります。
➀キャリアアップがしやすい
離職率が高いということは、上司も辞めていくということです。ということは出世のポストが空きやすいということにもなります。なのでキャリアアップをねらえます。
②新しい人脈が増える
離職率が高いということは、新しい職員が入ってくるということです。そこで新しい人脈を作ることができるメリットがあります。
と無理やりメリットを上げて見ました。
最後に
介護業界では、企業努力もあり徐々に労働環境が改善され、離職率が下がっているのは事実です。とはいえまだまだ離職率が高く、働きやすい仕事とはいいにくい状況でしょう。