そんな悩みにお答えします。
✓本記事の内容
・夜間の急変対応フローチャット
・緊急性を見極める3つのステップ
・救急車の呼び方~病院搬送までを順を追って解説
✓本記事の信頼性
この記事を書いている僕は、介護歴10年以上。夜勤の経験も4年ほどあり、救急対応も数回経験しています。
ある特別養護老人ホームのスタッフのアンケート調査の結果をみると、”夜勤に不安がある”と回答した人は32名中、21名でした。その理由が”急変時の対応”と答えたスタッフが9名いました。当法人のスタッフと話していても夜勤に不安を抱えているスタッフは多いようです。
そこで、今回は夜勤時の急変対応の仕方を経験をもとに、解説します。
※3分ほどで読める記事になっています。読み終わった頃には夜勤の急変対応の仕方のイメージがつかめているはずです。
もくじ
夜間の急変対応フローチャット
まずは、急変が起こった時のフローを見て、急変が起こった時の全体の流れのイメージをつかみましょう。
法人によってフローは若干変わると思いますが、大まかな流れはこんな感じです。ここでは、全体の流れがつかんでください。
流れがつかめていれば、実際急変が起こった時に、つぎに何をすべきかが見えるようになります。
緊急性を見極める3つのステップ
急変者を発見した時、それが緊急性があるかどうか正しく見極めることがとても大切です。なぜなら判断をミスると最悪の場合、死に至ります。そういったケースを防ぐためにも、緊急性を見極めるポイントを覚えておきましょう。
それでは緊急性を見極める3つのステップを紹介します。
緊急性を見極める3つのステップ
➀ 発見時に緊急性があるかどうか見極める。
② ➀+バイタルチェックで緊急対応するか最終判断する。
③ 迷った時は上司(看護師)に相談。
といった手順で判断しましょう。
それでは順番に解説します。
➀ 発見時に緊急性があるかどうか見極める。
”発見時に緊急性があるかどうか見極める”には症状ごとに理解すると判断がつきやすくなります。
それでは症状ごとの緊急性を見極めるポイントを解説します。
頭痛
緊急性がある頭痛の原因には、くも膜下出血や脳血管障害といった脳疾患があります。
もし、下記のような頭痛の場合には緊急性があると判断してください。
見極めるポイント(頭痛)
✓普段とは違った激しい頭痛
✓今まで経験したことがない頭痛
✓頻度と程度が上昇していく頭痛
✓50歳以降に初発の頭痛
✓強い吐き気を伴う頭痛⇒くも膜下出血の可能性あり
✓手足のしびれや力が入らないといった症状が伴う頭痛⇒脳血管障害の可能性あり
胸痛
緊急性がある胸痛の原因には、心筋梗塞や大動脈解離といった心臓疾患、肺塞栓症や気胸といった肺疾患があります。
もし、下記のような胸痛の場合には緊急性があると判断してください。
見極めるポイント(胸痛)
✓胸がしめつけられる強い痛み⇒心筋梗塞や狭心症の可能性あり
✓強い圧迫感や不快感を伴う胸痛⇒心筋梗塞や狭心症の可能性あり
✓冷や汗、嘔吐、呼吸困難を伴う胸痛
✓手足が冷たく、痛みの範囲が広がっていく胸痛
背部痛
緊急性がある背部痛の原因には、大動脈解離などの疾患があります。
強く痛む場所が移動していったり、避けるような痛みを伴う場合は大動脈解離の可能性があるので、緊急性があると判断してください。
腹痛
緊急性がある腹痛の原因としは、消化器官出血があります。
250mlを超える下血が見られる場合には、消化器官出血の可能性があるので、緊急性があると判断してください。
めまいやふらつき
通常、高齢者の場合めまいやふらつきといった症状はよくありますが、他の症状と伴ってめまいが起こっている場合には緊急性がある場合があります。
もし、意識レベルが低下していき、めまいやふらつきが強い場合には緊急性が高いと判断してください。
脱水
脱水の原因には、室内での熱中症があります。
話しかけても反応がなかったり、意識が朦朧としている、体が痙攣している場合には、重度の脱水状態になっている可能性があるので、緊急性が高いと判断してください。
意識障害
昏睡していたり、失神している、朦朧としているといった意識レベルの低下が見られた時は、脳疾患が多いため緊急性が高いです。
もし、下記のような意識障害が見られた時は、緊急性があると判断してください。
見極めるポイント(意識障害)
✓突然おかしくなる⇒脳血管障害の可能性あり
✓手足の動きが悪い⇒脳血管障害の可能性あり
✓ろれつが回らない
✓頭をひどく痛がる
✓糖尿病をもっている⇒血糖異常の可能性あり
出血
出血の原因には、外傷性による出血、消化管からの吐血や下血、気管・肺疾患による喀血などが考えられます。
止められない出血や多量に出血している場合には緊急性があると判断してください。
認知症による症状
認知症の人は、体の異変を訴えることができないこともあるので、注意深く観察する必要があります。
もし、普段とは違う激しい行動・心理症状がでている場合には緊急性があると判断してください。
緊急性を見極めるポイントを症状ごとに解説しました。
つづいてはバイタルチェックです。
② ➀+バイタルチェックで緊急対応するか最終判断する。
急変者を発見時に、緊急性がある場合にはバイタルチェックを行いましょう。数値が異常な時はすみやかに救急対応をしましょう。
バイタルチェックをする項目は5つです。正常値も合わせて解説します。
バイタルチェック項目
体温:正常値 36°~37°
脈拍:正常値 60~100/分
血圧:正常値 最大110~130 最低60~90
呼吸:正常値 15~20/分
意識レベル
③ 迷った時は上司(看護師)に相談。
それでも判断に迷った時は、上司や看護師などに相談しましょう。報告する際には、適切な情報を報告する必要があります。なぜなら夜間の場合、電話報告となるので適切な情報を報告しないと上司や看護師も指示をだすことができません。
報告すべき項目はこちらです。
ポイント
➀いつ、どこで発見したのか
②どのような症状なのか
③その症状はどれくらい続いているのか
④バイタルの状態
こういったことを報告し、指示を仰ぎましょう。
ここからは、救急対応の仕方になります。
救急車の呼び方~病院搬送までを順を追って解説
ここでは、救急車の呼び方から病院搬送までを時系列にそって解説します。
まずは救急車の呼び方です。
救急車の呼び方
救急要請をすると伝えなければいけない項目があるのでそちらを解説します。
※119にかけると必ず、火事ですか救急ですかと聞かれるので「救急です。」と答えてくださいね。
救急隊に伝えること
➀施設名と施設の住所
②急変者の名前、年齢、かかりつけ医
③急変者の容体(意識レベル、出血部位、状態、バイタルなど)
こういったことを聞かれるので事前に準備しておきましょう。また、心肺停止による蘇生が必要な場合には、救急隊の指示に従い蘇生をしましょう。
救急隊がくるまでの対応手順
救急要請が終わったら、救急隊が到着するまでの対応手順を解説します。
対応手順
➀バイタルチェック(血圧、SPO²、意識レベルの確認)
②全身状態の確認(出血、外傷、痛みの有無など)
つづいては救急隊がくるまでに準備しておくことです。
救急隊が来るまでの準備
救急隊が来るまでに必要な書類や連絡はおこないましょう。待機夜勤者と協力して、行いましょう。
準備するもの
➀急変者の看護サマリー、急変時の記録、薬情、家族の連絡先
②携帯電話(家族や上司との連絡をとるため)
③お金(病院から戻ってくるときのタクシー代)
④宿直に正面玄関をあけてもらい、フロアまで救急隊の誘導をお願いする
⑤家族への連絡
法人によって若干ことなると思いますが、だいたいこんな感じです。
救急隊が到着するまで、経過観察を行い、その旨を報告しましょう。
夜勤者は救急車に同乗。
搬送先病院到着後
搬送先病院が決まったら、家族へ報告しかけつけてもらいましょう。
病院へ搬送後は
➀搬送先病院では、看護サマリー、薬情、急変時の記録のコピーを病院スタッフに渡す。
②搬送までの経過を報告しましょう。
以上が、救急対応の仕方になります。
若干法人によって対応方法は異なると思いますが、だいたいの流れはつかめたのではないでしょうか。
まとめ:急変時対応の研修やシュミレーションをすることが吉
救急事態はある日突然やってきます。新人介護士にとっては不安でたまらないでしょう。
その不安を少しでも軽減するには、急変時対応の研修やシュミレーションを行っておくことです。
これらをしておくことで、自信となります。
実際の救急場面でもスムーズに対応ができるように準備をしておきましょう。
今回は以上になります。