
介護現場で働いていると、女性利用者さんの排泄介助中に「男の人にこんなことをしてもらって申し訳ない」と言われることがあります。
僕自身もこれまで何度か同じような言葉を聞いてきました。
ある時、「なぜそう思うんですか?」と聞いてみると、返ってきた言葉は「そう教わってきたから」でした。
介護職にとって排泄介助は日常のケアかもしれません。
しかし、利用者さんにとっては、恥ずかしさや遠慮、自分でできない悔しさが入り混じる、とても繊細な場面です。
特に高齢女性の場合、育ってきた時代背景や価値観が「申し訳ない」という言葉に表れていることもあります。
今回は、女性利用者さんが言う「男の人に申し訳ない」という言葉の裏にある本音と、介護職としてどのように向き合えばよいのかを、現場経験をもとに深掘りしていきます。
✓本記事の信頼性
当サイト管理者
● この記事を書いている僕は、17年以上の介護経験がある現役の介護士です。
● 特養や老健、デイなどさまざまな職場を経験しました。
● Instagramもやってます。(shinblog2020)
もくじ
「申し訳ない」の裏にある女性利用者の本音

女性利用者さんの「男の人に申し訳ない」という言葉には、単なる遠慮だけでなく、いくつかの感情が隠れていることがあります。
恥ずかしさがある
排泄は、とてもプライベートな行為です。
異性に身体を見られたり、下の世話をされたりすることに、強い恥ずかしさを感じる方もいます。
迷惑をかけたくない気持ち
「こんなことまで人に頼んでしまって申し訳ない」と感じている場合もあります。
介護職にとっては仕事でも、本人にとっては簡単に割り切れない場面です。
自分でできない悔しさ
本当は自分でトイレに行きたい。
でも身体が思うように動かない。
その悔しさが「申し訳ない」という言葉になって表れることもあります。
なぜ高齢女性は「男の人に申し訳ない」と感じやすいのか(時代背景)

高齢女性の中には、若い頃から「女性は慎ましくあるべき」「男性に肌を見せるものではない」「下のことは恥ずかしいこと」と教わってきた方もいます。
介護職にとっては、異性による排泄介助は当たり前。
しかし本人にとっては、異性に身体を見られることや、下の世話を受けることに強い抵抗がある場合があります。
また、「人に迷惑をかけてはいけない」という思いが強い方ほど、介助を受けるたびに申し訳なさを感じやすくなります。
つまり「男の人に申し訳ない」という言葉は、男性介護職を嫌がっているというより、その方が長く大切にしてきた価値観や恥じらいが表れている場合があるのです。
介護職がやりがちなNG対応

女性利用者さんに「男の人に申し訳ない」と言われたとき、介護職側は安心させるつもりで声をかけます。
しかし、言い方によっては本人の恥ずかしさや遠慮を軽く扱ってしまうこともあります。
「仕事だから気にしないでください」
介護職にとっては本音かもしれませんが、本人の気持ちには届きにくい言葉です。
「私は気にしていない」ではなく、「本人がどう感じているか」に目を向ける必要があります。
「みんなやってますから」
他の人も同じだから大丈夫、という意味で言ってしまいがちです。
しかし本人にとっては、今この瞬間の恥ずかしさが問題です。
「そんなこと思わなくて大丈夫ですよ」
一見やさしい言葉ですが、本人の気持ちを否定してしまう場合があります。
大切なのは、まず「そう感じるのは自然ですよ」と受け止めることです。
女性利用者に「申し訳ない」と言われたときの声かけ例

女性利用者さんに「男の人に申し訳ない」と言われたときは、まず気持ちを受け止めることが大切です。
気持ちを受け止める声かけ
「そう感じるのは自然なことですよ」
「恥ずかしいですよね。できるだけ配慮しますね」
このように伝えると、本人の気持ちを否定せずに受け止められます。
安心につながる声かけ
「必要なところだけお手伝いしますね」
「タオルをかけながら行いますね」
「見えないように配慮しますね」
具体的にどう配慮するかを伝えると、利用者さんも少し安心しやすくなります。
大切なのは、「気にしないでください」と流すことではなく、本人の恥ずかしさを認めたうえで、尊厳を守る関わりをすること。
まとめ:排泄介助で尊厳を守るために意識したいこと

排泄介助は、介護職にとって日常的なケアのひとつです。
しかし利用者さんにとっては、恥ずかしさや遠慮、自分でできない悔しさを感じやすい、とても繊細な場面です。
特に女性利用者さんが「男の人に申し訳ない」と言うとき、その言葉の裏には、育ってきた時代の価値観や、女性としての恥じらいが隠れていることがあります。
大切なのは、「仕事だから大丈夫」と流すのではなく、まず本人の気持ちを受け止めることです。
声かけをしながら介助する、露出を最小限にする、タオルをかける、できることは本人にしてもらう。
こうした小さな配慮の積み重ねが、利用者さんの尊厳を守るケアにつながります。