長谷川式認知症スケールを知っていますか?
長谷川式認知症スケールは、限られた時間と限られたスペースで、公平に認知機能の低下を診断するためのツールです。
精神科医の長谷川和夫先生によって開発されました。
1974年に開発され、1991年に一部改定を経て今に至るまで利用されています。
今回は、長谷川和夫先生が著書で語っていた、パーソンセンタードケアの原点と言われる物語を紹介します。
パーソンセンタードケアとは
パーソンセンタードケアは、イギリスのトム・キットウッド教授が1980年代後半に提唱しました。
「一人ひとりが違う」「一人ひとりが尊い」「その人中心のケアを行なう」これが、パーソンセンタードケアです。
長谷川先生は、著書でパーソンセンタードケアの原点と評した物語を紹介していました。
にっこり笑った女の子
公園を歩いていた小さな子が転んで泣きだしました。
すると、四歳くらいの女の子が駆け寄ってきました。
小さな子を助け起こすのかと思っていたら、女の子は、小さな子の傍らに自分も腹ばいになって横たわり、にっこりとその小さな子に笑いかけたのです。
泣いていた小さな子も、つられてにっこりとしました。
しばらくして、女の子が「起きようね」というと、小さな子は「うん」といって起き上がり、二人は手をつないで歩いていきました。
長谷川先生は、この女の子は、「パーソンセンタードケア」の原点を表しているようだと語っておられます。
泣いている、転んだ小さな子のもとに駆け寄って、上から手を引いて起こすのではなく、まずは自分も一緒になって地面に横たわり、その子の顔を見る。
これは、ケアを必要としている人と同じ目線の高さに立つということです。
それから頃合いを見て、自分で起き上がってみようと勧めます。
自分で起き上がることができた小さな子は、さぞ嬉しかったことでしょう。
下手に手をかさず、しかも貸しすぎない。時間をかけて十分に待つ。
自主性を尊重しつつ、さあ、前に向かって進んでみようと誘ってみる。
この女の子が見せてくれたような、こうしたケアが日本中に広がったらいいなと願ってきたとも語っています。
最後に
この物語を読んでどう思いましたか?
「理想論はわかるけど現実ではムリ!」
「忙しい現場でそんなことできるわけないじゃん!」
「きれいごとだよ!」
そんな心の声が聞こえてきます。
ぶっちゃけ僕もそう思います(笑)
ただ、介護の現場でできなくても、この女の子のとった行動を介護職には知っておいて欲しい。
心のどこかに持っておいて欲しいなとそう思うのです。
今回は以上です。