介護職として働くなら認知症の知識は必須のスキルです。
というのも認知症患者は、年々増加しており2020年には600万人を超えています。
そのため、介護職であれば必ず認知症の方のケアをする機会があります。
認知症ケアは、誰でもできる仕事ではなく知識やスキルが必要です。
この記事では、介護職として最低限知っておくべき3大認知症の基礎知識を解説していきます。
記事を読めば、3大認知症の基礎知識が分かり、認知症への理解が深まります。
✓本記事の信頼性
介護職が知っておくべき3大認知症
認知症は一般的に加齢などによって脳の神経細胞が壊れることで起こり、物忘れや判断力・理解力の低下などを症状とする病気です。
これまでできていたことが難しくなったり、できなくなったりして日常生活に支障をきたすようになります。
そして、3大認知症とはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症の3つです。
すべての認知症患者のうち、55%がアルツハイマー型認知症、20%がレビー小体型認知症、15%が血管性認知症です。
それでは、詳しく解説していきます。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβやタウタンパクというたんぱく質が異常にたまり、脳細胞が損傷したり神経伝達物質が減少したりして、脳の全体が萎縮して引き起こされると言われています。
アルツハイマー型認知症の主な症状
記憶障害、見当識障害、判断力の障害、実行機能障害になります。
アルツハイマー型認知症の進行
アルツハイマー型認知症の症状は、ゆっくり進み、確実にスロープを降りていくように進行するのが特徴です。
アルツハイマー型認知症の記憶障害について
アルツハイマー型認知症の方は、覚えることが苦手です。
そして、場所や時間、進行すると家族の顔も忘れます。
場所が覚えられないので、どこだかわからず不安な状態になります。
「帰りたい、帰りたい」と何度もいいます。
そして、説明してもすぐに忘れてしまうので、繰り返し「帰りたい」と言うんです。
同じことを説明するのは大変です。
とはいえ、説明したその瞬間本人は理解して安心できるんです。
繰り返し、繰り返し説明してあげることが、本人とっては一番いいのだと思います。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、レビー小体という物質が脳内に蓄積することで発症します。
パーキンソン病と似ていますが、パーキンソン病はレビー小体という物質が脳幹を中心に現れるのに対し、レビー小体型認知症は大脳皮質を中心に広範囲にレビー小体がたまっていく病気で、脳の萎縮が起こります。
レビー小体型認知症の主な症状
変動性の認知機能障害:一日のうちで、認知障害がほとんど見られない時間帯と混乱した時間帯とがあり、それが一日の中で交互に起こる状態です。
幻視:幻視はないものが見える状態です。
パーキンソン症状:「小刻み歩行」「動きの遅さ、鈍さ」「関節のこわばり」「ふるえ」などがあらわれます。
レビー小体型認知症のたどる経過
初期: 記憶力や判断力などの認知機能の低下は少ないです。
手足の震えや小刻みな歩行などのパーキンソン症状。存在しないものが見える幻視など。
中期: パーキンソン症状や認知機能の変動が激しくなり、悪いときの時間が長くなります。
記憶障害や理解力が低下して、周りとのコミュニケーションがとりづらくなります。
後期: パーキンソン症状の悪化で、転倒を繰り返すため、移動の介助や車いすなどの福祉用具が必要になります。
レビー小体型認知症の幻視について
照明の影で見まちがいが生じるため、なるべく室内の照度は統一しましょう。
本人とっては、アリアリと真実味をもって見えているので、そのことを十分理解して受けいれてあげましょう。
相手の世界に合わせていくことが大切です。
幻視に対する対応や声かけの仕方を知りたい方はこちらをご覧下さい。
レビー小体型認知症のパーキンソン症状について
認知症が進行すると身体の筋肉や関節が固くなり思うように動かなくなるパーキンソン症状があらわれます。
意識レベルの変動時、急な血圧低下で転倒のリスクが高くなります。
表情の変化や歩行状態を観察して、転倒予防が必要です。
血管性認知症
脳の血管障害によって起こるタイプの認知症です。
その原因となる疾患は脳梗塞や脳出血です。
脳梗塞や脳出血が起こすと、それが原因で脳の細胞が死滅して、認知症になることがあります。
血管性認知症の主な症状
脳に障害を受けた場所と受けていない場所があるために、非常にしっかりとした部分が残っているなど、まだら状に症状がでます。
脳梗塞や脳出血の再発により急激に進行する場合があります。
血管性認知症の進行
アルツハイマー型認知症が、スロープを降りるように進行するのに対し、血管性認知症は階段を降りるように進行するのが特徴です。
後遺症による性格変化について
脳卒中による後遺症で性格変化を起こすことがあります。
感情失禁や易怒、徘徊、せん妄などの症状に対して、やさしく受け止めましょう。
廃用症候群を防ごう
身体活動や認知機能の低下は自発的行動が衰えてしまいます。
趣味や日課、体操などに積極的に取り組む生活を送ることで、廃用症候群を予防していきましょう。
まとめ
今回は、3大認知症の基礎知識について解説しました。
この記事で紹介したのは、認知症の入り口だけです。
認知症はもっともっと奥が深く、それが認知症ケアの面白さだったりもします。
興味を持った方は、認知症について学んでみるといいと思います。
認知症の薬について詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
認知症の遺言書について知りたい方はこちらをご覧ください。
今回は以上です。