認知症が進行すると、食べ物を食べないということがあります。
これは、食べ物そのものや食べ方を理解できなくなるという失認や失行が原因です。
目の前にご飯を出されても、何をすべきかわからず、食べないという状況に陥るのです。
このような状況に対して、15年以上の経験がある現役介護職の僕が、実践しているアプローチを紹介します。
この記事を読めば、利用者さんの食事をスムーズに進めるためのヒントを得られます。
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✓本記事の信頼性
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・この記事を書いている僕は、15年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・特養や老健、デイなどさまざまな職場を経験しました。
・Twitterもやってます。(@shinbloger)
もくじ
はじめに:失行、失認とは?
認知症が進行すると、失行や失認という症状が見られることがあります。
これらは、日常生活の中でさまざまな困難を引き起こしますが、特に食事に大きな影響を与えることが多いです。
✓失行とは?
身体が正常に機能していても、どうやって動かすのか分からなくなる状態です。
たとえば、箸やスプーンを使う動作自体は可能であっても、どのように使うのかという手順を忘れてしまい、食事を進めることができなくなる場合があります。
✓失認とは?
物の認識ができなくなる症状です。
これにより、食べ物や食器を見てもそれが何であるか理解できないことが起こります。
たとえば、目の前にご飯が出されても、それが食べであると認識できず、食べることをためらうことがあります。
これらの症状は、認知症の進行とともに多くの人に見られ、食事が進まない原因の一つです。
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食事が進まない認知症利用者への効果的アプローチ
それでは、食事が進まない認知症利用者へ、僕が実践しているアプローチを紹介します。
献立を説明する
食事が進まない認知症利用者には、献立を口頭で説明することが効果的です。
何を食べるのかを言葉で伝えながら目で確認してもらうことで、食事に対する理解を深めることができます。
たとえば、「これはお魚です」「こちらは柔らかい煮物です」と具体的に説明し、食べ物の種類や特徴を伝えましょう。
食器を手に取ってもらう
食事の温度や風味を感じることで食欲を引き出すことも効果的です。
食器を手に取ってもらい、温かさや冷たさ、香りを感じてもらうことで、感覚を刺激し、食事への興味を促します。
箸を持ってもらう
利用者に箸を持っていただき、おかずの柔らかさや硬さを感じてもらうことも有効です。
感触を通じて、食事が進めやすくなります。
2~3口介助する
声をかけながら、まずは2〜3口だけ介助することも有効です。
少量食べてもらうことで、食べ始めるきっかけが作れます。
まず、「少しだけ食べてみましょう」や「これを一口食べてみてください」と優しく声をかけ、無理のない範囲で2~3口を食べてもらいます。
この時、無理に食べさせるのではなく、利用者のペースに合わせた声かけをしてください。
ワンプレートにする
認知症の利用者の中には、複数の食器や料理が一度に並ぶと、情報量が多すぎて混乱してしまう方がいます。
食べ物の選択肢が多すぎると、どこから手をつけるべきか分からなくなり、結果的に食事が進まなくなることがあるのです。
そんな場合には、ワンプレートにまとめることが効果的です。
ワンプレートにすることで、視覚的にもシンプルになり、利用者がどの食べ物に手を伸ばせばよいかが分かりやすくなります。
食器の色を変える
認知症の方の中には、食器の色と食べ物の区別が難しい場合もあります。
たとえば、白いお椀に白米を入れると、区別がつきにくくなります。
このような時は、食器の色や柄を変えることで、視覚的に食べ物を認識しやすくできます。
箸をスプーンに換える
認知症が進行すると、箸を使う動作が難しくなることがあります。
このような場合には、よりシンプルに使えるスプーンにかえることが効果的です。
スプーンは、認知症の方でも扱いやすく、食事がスムーズに進みやすくなります。
特に、柔らかいおかずや汁気のある料理にはスプーンが最適です。
一口大のおにぎりにする
認知症が進行すると、箸やスプーンをうまく使えなくなる方がいます。
そんなときには、手軽に食べられる一口大のおにぎりが良いです。
おにぎりは、手でつまんで食べることができるため、箸やスプーンの動作が難しい方でも、自分で食事を楽しむことができます。
まとめ:認知症以外の原因も考察しよう!
今回は、認知症の症状、失行・失認が原因で食事が進まない方への対処法を紹介しました。
僕が原因で実践して効果のあったアプローチなので、ぜひ実践してみてください。
また、他に良い方法を知っていれば、教えてください。
補足として、食べない理由は認知症に限りません。
嚥下機能の低下や口腔内のトラブル、体調不良、機嫌が悪いなど、他にもさまざまな要因が考えられます。
これらを考慮しながら、最適な対応を探ることが大切です。
今回は以上になります。