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介護の仕事

ICF(国際生活機能分類)とは?目的や書き方を中学生でも分かるように解説

ICF1

ICFをちゃんと理解できていますか?

 

介護の仕事をしてるとよく聞く言葉であり、介護のテキストにも必ずでてきます。

ICFは、よく聞く言葉ではあるけど「わかっているようでわからない」そんな言葉ですよね。

 

僕は、介護の仕事を12年以上やってきました。

そして、ICFの視点でケアを考えなさいとよく言われてきましたが、いまいちピンとこなくて疑問に思っていました。

同じように疑問に思っている方も多いと思います。

 

この記事では、ICFの意味や目的からICFの具体的な書き方まで解説していきます。

ICFは介護職をする上で、知っておくべき知識です。

記事を読めば、ICFをちゃんと理解できるようになるはずです。

 

この記事を書いている人

この記事を書いている僕は、10年以上の介護経験がある現役の介護士です。

介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。

Twitterもやってます。(@shinbloger

ICFとは?

ICF

ICF(国際生活機能分類)は、2001年5月、世界保健機関(WHO)総会において、人間の生活機能と障害の分類法として採択されました。

ICFは、International Classification of Functioning, Disability and Healthの略です。

ICFには「健康状態」、3つの「生活機能」、2つの「背景因子」の6つの項目があり、それぞれの項目は影響しあって成り立っています。

わかりやすく言うと、ICFはその人の全体を分類できるツールです。

 

ICFの目的

ICFの目的は2つあります。

 

一つめは、その人を深く理解することです。

ICFには、健康状態や心身機能だけでなく、環境因子や個人因子まで項目に含まれています。

そのため、その人の今の状態を深く理解することができます。

 

具体的に言うと、健康状態や心身機能のみに視点をおいてしまう場合

脳梗塞により左麻痺があるため、浴槽がまたげないので自宅での入浴が不可となってしまいます。

 

しかし、ICFの視点でとらえると、

脳梗塞により左麻痺があるため、自力で浴槽がまたげないが、同居している息子の介護を借りれば自宅での入浴が可能となります。

 

このように、その人の今の状態を深く理解するために役立つツールがICFです。

 

二つめは多職種とのコミュニケーションツールにするためです。

例えば、Drは健康状態や心身機能についてはその人を深く理解していますが、活動や参加については無知です。

また、ケアマネージャーは、健康状態や心身機能、活動についてはアセスメントをとりますが、それ以外はおろそかです。

 

icf

ご覧のように、職種によってその人の知っている情報に差異があります。

ICFは、職種による差異をなくしその人を深く理解するためのツールなんです。

 

ICFを項目別に解説

CFには「健康状態」、3つの「生活機能」、2つの「背景因子」の6つの項目があります。

項目別に詳しく解説します。

 

健康状態

健康状態とは、その人が抱えている病気やケガなどのことです。ストレス、妊娠なども含みます。

 

具体例

・2年前に脳梗塞発症
・高血圧症

 

心身機能・身体機能

心身機能とは、体の生理的、心理的機能のことです。麻痺の有無、柔軟性、視力や聴力などです。

身体機能とは、体のそれぞれの器官や肢体とその構成部分など、体の解剖学的な分類です。

 

具体例

・軽度右片麻痺
・軽度認知機能の低下
・聴力の低下

 

活動

入浴、排せつ、食事、移動、衣服の着脱など日常生活における個人的な活動全般のことです。

 

具体例

・外出時は杖を使用
・食事や入浴は自立

 

参加

参加とは、生活・人生場面へのかかわりのことです。

 

具体例

・デイサービスに通い他者交流している
・毎週火曜日は、妻と100歳体操に参加している

 

環境因子

環境因子は、その人を取り巻く人的・物的な環境すべてを指します。

具体的には、建物や道路、交通機関、自然環境などの「物的環境」。家族や友人、同僚などの周囲の人間との関わりなどの「人的環境」。医療や福祉をはじめとしたあらゆる法律や制度、サービスなどの「制度的環境」があります。

 

具体例

・近所に息子夫婦が住んでいて援助が受けられる
・半年前にバリアフリーにした
・デイサービスを利用している

 

個人因子

個人因子は、その人固有の特徴のことを指します。

年齢、性別、民族、生活歴(学歴・職歴・家族歴など)、価値観、ライフスタイルなどがあり、その人の「個性」ともいえる重要な因子です。

 

具体例

・85歳男性 妻と二人暮らし
・趣味は将棋
・明るい性格
・営業の仕事をしていた

 

ICFの具体的な書き方

つづいて、ICFの具体的な書き方をアセスメント事例を通して紹介します。

 

アセスメント事例

【名前 年齢】
・Aさん 85歳 男性

【家族構成】
・妻と二人暮らし
・近くの町に息子夫婦が住んでいる

【病歴】
・2年前に脳梗塞発症、軽度の右麻痺あり
・脳梗塞の影響により軽度の認知機能の低下あり
・高血圧症で服薬治療中

【ADL】
・食事、入浴、排せつは自立
・聴力、視力異常なし
・外出時は杖を使用 45メートル以上の歩行可

【性格や過去の仕事】
・性格は明るい
・営業の仕事をしていた

上記のアセスメント事例をICFにまとめると下記になります。

 

icf

ご覧のように、各項目を埋めていくだけでOKです。

ICFを使うことで、アセスメントよりもその人の全体像が見やすくなったことが実感できると思います。

 

ICFとICIDHの違い

ICIDHとは、「International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps」の略称で日本では「国際障害分類」となります。

ICIDHは、ICFが採択される約20年前の1980年にWHOによって定義されました。

障害を機能障害→能力障害→社会的不利の3つのレベルに分けて捉える「障害の階層性」を示したものです。

 

とはいえ、障害の捉え方が「障害をマイナス面のみで把握している点」や「障害が直接的に社会的不利につながると行った一方方向の視点」から問題視されるようになり、新しく作られたのが、ICF(生活機能分類)です。

ICIDHは障害の階層を一方方向としてネガティブに捉える考え方です。

一方、ICFは障害を活動や参加、環境・個人の因子まで多面的な視点からポジティブに捉える考え方という点が大きな違いがあります。

 

具体的に言うと

ICIDHでは、2年前の脳梗塞発症により右片麻痺、浴槽が跨げないので自宅での入浴ができないと評価されるケースであったとします。

しかしICFでは、2年前の脳梗塞発症により右片麻痺、浴槽が跨げないが同居している家族の援助を受けて、自宅での入浴が可能と評価できることもあります。

 

このように、ICIDHよりもICFの方がぞの人の全体像をとらえて深く理解できることがわかると思います。

 

まとめ

今回は、ICFの目的や書き方を詳しく解説しました。

 

本記事のおさらい

ICFは人の全体を分類できるツールです。

ICFには「健康状態」、3つの「生活機能」、2つの「背景因子」の6つの項目があります。

ICFは、その人を深く理解するため、多職種のコミュニケーションツールとして役立てる目的があります。

 

今回は以上になります。

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