こんな悩みにお答えします。
✔本記事の内容
・認知症の中核症状とBPSD(行動・心理症状)
・BPSD(行動・心理症状)の種類
この記事を読むと、認知症の理解が深まり、ケアが楽になります。
✔この記事の信頼性
本日の記事では、
認知症の看護、介護に役立つ よくわかるパーソンセンタードケア
こちらの書籍を参考にさせていただきました。
介護現場で培ったノウハウと合わせて記事にしていますので、信頼性が保たれています。
✔こんな方におすすめ!
・認知症について理解を深めたい人
・家族に認知症の人がいてその症状に困っている人
・介護施設で働いている看護師や介護士
というわけで最後までご覧いただければ幸いです。
もくじ
認知症の中核症状とBPSD(行動・心理症状)
中核症状とは?
脳の萎縮や障害によって、引き起こされる症状を中核症状と言います。症状の種類や程度の差はあれど、この中核症状は認知症の人なら誰でも持っているものです。
認知症の中核症状は6つ
➀
複雑性注意障害
②実行機能障害
③学習と記憶の障害
④言語障害(失語、失書)
⑤知覚-運動の障害
⑥社会的認知の障害
BPSD(行動・心理症状)とは?
BPSD(行動・心理症状)とは、認知症の人の歩き回る、同じことを繰り返す問合った行動や落ち込むといった心理的な反応のことを言います。中核症状があることで起こる症状で、必ず現れるわけではなく、個人差があります。覚えておきたいのが、その多くは環境の変化、身体の不調、ケアの不足によるストレスから生じるものだということです。
BPSD(行動・心理症状)を緩和するのは「ケア」
認知症の症状には中核症状とBPSD(行動・心理症状)があります。認知症の原因にもよりますが、多くの場合、中核症状は薬を使うことで進行を遅らせることができます。しかし、BPSDは薬で治すことはできません。認知症の人のBPSDを緩和したり、治したいならその人の「ケアの方法」を見直しましょう。
大事なポイントは、認知症の人の視点に立ったケアをすることです。これをすることで、認知症の人のBPSDが出ない、おさまったという事例はたくさんあります。反対に認知症の人の視点に立たないケアによって、認知症の人のBPSDはより一層強く出るようになります。
BPSDを緩和するための第一選択肢は、「ケア」であり、「薬」ではありません。
BPSD(行動・心理症状)を軽減するには正しい解釈が不可欠
BPSDを軽減したり、治すには正しく解釈をする必要があります。たとえばBPSDの症状の一つ「徘徊」をしている人がいるとします。まわりの人からすると「ただ歩き回っているだけ」のように見えるかもしれません。しかし、認知症の人には歩き回っている理由があるのです。
想像してみてください。
「入院して知らない場所にいるのが不安で廊下にでた。けれども、道がわからなくて歩き回っているうちに、自分がどこにいるかわからなくなっていしまった。」という高齢者がいました。この人は脳に障害がないため、自分でこのことを思い出しながらせつめいできたので「徘徊」とは言われてませんでした。しかし、同じことを認知症の人が行ったらどうなるでしょう。認知症の人は、記憶障害があるため、体験事態を忘れてしまうため、ここまで歩いてきたことを説明することができません。その結果、「ただ、歩き回ってるだけ」とまわりの人は思い込んでしまうのです。
このようにまわりの人の勝手な解釈で、まるで病気による悪い症状と思われたり、絶対におさまらない、薬でしか治せないように思われたりするのがBPSDです。そして、そうした勝手な解釈と思い込みにより、その人のBPSDは悪化していきます。
だからこそ、その人のBPSDは、まわりの人、ケアする人の知識と想像力があれば「軽減すること」「なくすこと」ができるのです。
BPSDが現れるプロセス
BPSD(行動・心理症状)の種類
認知症のBPSD(行動・心理症状)が現れたとき、BPSDの種類を用いるよりも本人の心身の状態、ありのままの言葉を想像した方が、解決策(ケアプラン)が導きやすいです。
この記事では、BPSDの種類と本人の視点からみた心身の状態やありのままの言葉をセットで書きます。あくまでも心身の状態は例であり、想像の部分であります。ひとりひとり違うということが本当のところです。これを参考に、実際にケアする時に、話したり、情報を集めることで、必要なケアを導きだしてもらえればと思います。
不安(BPSDの種類)
物忘れや失敗が増えて生活に不安を感じている。自分のことやどこにいるのわからず、不安を感じている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
抑うつ(BPSDの種類)
ささいなことで失敗を繰り返して、落ち込んでいる。悲しい、むなしい、寂しいといった悲壮感に襲われている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
意欲低下・アパシー(BPSDの種類)
することがなかったり、何をしていいかわからない。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
※アパシーとは、好きなことをしなくなるといった意欲の低下、無気力。
幻覚・妄想(BPSDの種類)
似たような人をみたり、似たような声を聞くことで、いない人の声が聞こえたり、いないものがみえている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
焦燥(BPSDの種類)
苦痛や不快感が収まらす、イライラして落ち着かない。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
常同行動(BPSDの種類)
満たされない思いや欲求、安心したい。刺激が欲しいなどの欲求から何度も同じ行動を繰り返している。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
徘徊(BPSDの種類)
どこに行けばいいのか分からない。自分に行きたい場所に行けず歩き回っている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
帰宅願望(BPSDの種類)
自分の居場所や安心できる場所を求めて、家に帰りたいと繰り返し訴えている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
夕暮れ症候群(BPSDの種類)
居場所がないと感じている場所、夕方になると不安が強くなり、安心できる自宅に帰りたくなる。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
物盗られ妄想(BPSDの種類)
物がないので、物がとられたと錯覚している。(物をしまったことを忘れてしまったり、しまうことを忘れることもある)
大声(BPSDの種類)
自分の意思と合わない一方的な介助への不満、体の痛みによる不快さを声に出して訴えている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
多弁・多動(BPSDの種類)
自分の感情がコントロールできずに、必要以上に話したり、動き回ったりする。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
暴言・暴力(BPSDの種類)
自分の思いを否定されたり、説明がなく介助されたことにより、不安や恐怖を感じて、大声があげたり、抵抗している。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
介護への抵抗(BPSDの種類)
介護されることの意味や目的、介護者のことがよくわからないので、介護者からの援助を受けたくないと思っている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
依存(BPSDの種類)
自分一人だと何をしていいかわからないので、介護者や家族の近くにいないと不安を感じ、何度も関わりを持とうとしている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
過干渉(BPSDの種類)
気になることがあり、つい他の人の行動が気になって、過剰に干渉してしまう。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
脱衣(BPSDの種類)
突然衣服を脱ぎたくなっている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
収集(BPSDの種類)
物への執着や、なくなってしまう不安から、物を集めてしまっている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
昼夜逆転(BPSDの種類)
加齢の影響や、昼間することがないため、昼眠ってしまい夜眠ることができない。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
不潔行為(BPSDの種類)
トイレの場所が分からないので、別の場所で排尿や排便をしてしまう。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
ろう便(BPSDの種類)
手で触れてものが便と認識できない。おしりに違和感を感じてさわってしまう。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
拒食(BPSDの種類)
食欲がない。食べ物の毒がはいっていると思いこんでいる。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
過食(BPSDの種類)
食べたことを忘れてしまっている。または、満腹中枢に障害が起こり、満腹感を得られない。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
異食(BPSDの種類)
食べ物と他のものとの区別がつかず、口に入れてしまっている。(認知症の人の心身の状態、ありのままの言葉)
以上、認知症のBPSDの記事になります。