認知症ケアには有名なメソッドが3つあります。
3つのメソッド
バリデーション
パーソンセンタードケア
ユマニチュード
この3つが日本のみならず、世界でも有名なメソッドです。
✔本記事の内容
・認知症ケア3つのメソッドの特徴
・3つのメソッドの比較
この記事を読むと、3つのメソッドのおおまかな内容がわかります。
✔こんな人におすすめ
・介護施設で働く介護士や看護師
認知症ケアの3つのメソッドの特徴
認知症ケアには有名な3つのメソッドがあります。「バリデーション」「パーソンセンタードケア」「ユマニチュード」の3つです。これらのメソッドは、日本のみならず世界中で認知症ケアの方法として使われています。3つのメソッドの共通点は、「人間の尊重」を重視しているところです。
それぞれの特徴について解説します。
バリデーション
バリデーションとは、1963年にアメリカのソーシャルワーカーであるナオミ・フェイルさんによって考案された認知症の人とのコミュニケーション方法です。
主にアルツハイマー型認知症及び類似の認知症と診断された高齢者が対象です。
バリデーションでは、認知症の人のBPSD(行動・心理症状)と言われる「大声をだす」「徘徊する」といった行動にはすべて「意味がある行動」として捉え、なぜそのような行動をとるのかに立ち返ります。
尊厳と共感を持って関わることを基本とし、接する上で「うそをつかない」「ごまかさない」ことで、信頼関係が深まり、高齢者の言葉の奥にある“真の思い”を察する、という基本的態度を重視しています。
バリテーションの14の基本テクニック
14のテクニック
1 .センタリング(精神の統一・集中)
2 .相手を威嚇しないように事実についての言葉を用いて信頼を築く
3 .リフレージング
4 .極端な表現を使う
5 .反対のことを想像させる
6 .思い出話をする
7 .真心を込めたアイコンタクトを保つ
8 .曖昧な表現を使う
9 .低くはっきりとした愛情のこもった声で話す
10.相手の人の動作や感情を観察して合わせる
11.満たされていない人間欲求と行動を結びつける
12.その人の好みの感覚を使う
13.タッチング
14.音楽を使う
尊重と共感を基本として、この14のテクニックを使って認知症高齢者とのコミュニケーションをとり、その人の”真の思い”を理解していきます。
パーソンセンタードケア
「パーソン・センタード・ケア」は、1980年代にイギリスの心理学者トム・キッドウッド氏によって提唱されました。
パーソンセンタードケアでは、認知症の人が「何を必要としているのか」「何を求めているのか」といった「心理的ニーズ」を理解することを重要視しています。そして「その人を中心としたケア」を実践して、「その人らしさ」「人となり」の維持向上を目標としています。
トム・キッドウッド氏は、認知症の人の持っている「心理的ニーズ」を理解する上で「一人の人間として無条件に尊重されることあ(愛)」を中心にし、「共にあること」「くつろぎ」「自分らしさ」「結びつき」「たずさわること」という6つのことを大切にしています。
パーソンセンタードケアでは、認知症の人のBPSD(行動・心理症状)を引き起こす原因は5つの要素が絡み合って起こると言ってます。
5つの要素
5つの要素
① 脳の障害(アルツハイマー病・脳血管の障害など)
② 身体状態(視力・聴力・内服薬の影響など)
③ 生活歴や最近の出来事(本人のライフスタイルや過去の生活歴など)
④ 本人の性格や行動パターン(性格・こだわりなど)
⑤ 社会心理や環境(今までたどってきた本人の人間関係の傾向など)
この5つの要素から、原因を考えて、必要なケアを導きだしていきます。
認知症ケアマッピング(DCM)
認知症ケアマッピング(DCM)とは、現場でパーソンセンタードケアを実践するためのツールです。マッパーと呼ばれるパーソンセンタードケアの専門家が、6時間以上にわたり対象者を観察して、「どのような行動をしているのか」「本人の状態はよいのか、悪いのか」「介護者の関わり方」を数値化して関わり方やその人の思いに理解を深めるために使われます。
パーソンセンタードケアを詳細に書いた記事があるので、興味のある人はそちらをご覧ください。
【介護士向け】認知症ケアを学ぶならパーソンセンタードケアがおすすめ
ユマニチュード
ユマニチュードとは、フランス人体育教師だったイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏によって1979年に考案された認知症ケアの方法です。
ユマニチュードのケアでは、人間の尊厳を取り戻すことを根底に「見つめること」「話しかけること」「触れること」「立つこと」4つの基本の柱を大切としています。
認知症の人の心を掴むステップ
心を掴むステップ
1 .出会いの準備(相手に近づくまで3 回ノック)⇒ 3 秒待つ× 2 回+ 1回ノックする
2 .ケアの準備(見る、話す、触れるを全て使う)目が合ったら 2 秒以内に話しかける
3 .知覚の連結(見る、話す、触れるの少なくとも 2 つは同時に使う)
4 .ケアの固定
5 .再会の約束
こういった具体的な認知症の人とのコミュニケーションを方法を提唱しています。
3つのメソッドの比較
ここでは、3つのメソッドの文献数や特徴を表にして紹介します。
3つのメソッドの特徴比較
3つのメソッドの文献数
認知症のケアメソッド「バリデーション」「パーソンセンタードケア」 「ユマニチュード」の文献検討によるメソッド比較
本記事のまとめ
本記事で紹介した3つのメソッドは、欧米で開発された認知症ケアのメソッドであり、日本の文化や風習に改良すべき点があると思います。日本の介護の現場では、パーソンセンタードケアがよく使われているようです。僕の法人でもパーソンセンタードケアを使っています。
日本では、これからも認知症の人はどんどん増えていきます。認知症ケアのメソッドを知っていることは、一つのスキルであり将来重宝されると思います。