そんな悩みにお答えします。
✓本記事の内容
・入浴する目的
・入浴拒否の原因
・こんな介助はやってはいけない
・うまくいった声かけを紹介
・入浴拒否の対応
・入浴の目的は清潔を保つこと
結論から言うと、声かけや対応の仕方で、入浴拒否がなくなったり、軽減することはたくさんあります。
家族から「早く入れてください。」入浴をせかされたり、上司やケアマネから「まだ入れないの?」とプレッシャーをかけられたりと、現場の介護士さんは大変ですよね。
ましてや、尿臭や便臭があり、他の入居者様に迷惑をかけている場合などは、頭が痛いと思います。
そこで、今回は入浴拒否の方への声かけや対応の仕方を記事にまとめました。
✓本記事の信頼性
この記事を書いている僕は、介護歴10年以上の現役介護士です。
今まで、地蔵のように固まってまったく動こうとしない方や暴れて手に負えない方などいろんな方の入浴対応をしてきました。
その経験を元にうまくいった事例なども合わせて解説します。
この記事を読み終わった頃には、今あなたが抱えている入浴拒否の方の解決の糸口がつかめているはずです。
もくじ
入浴する目的
まずは、入浴する目的を理解しましょう。入浴する目的は主に4つです。
入浴の目的
・清潔保持
・皮膚炎や感染症の予防
・ストレス解消
・睡眠の促進
といったところです。当たり前のようなことですが、目的を理解しておくことは大切です。
本来の目的を忘れ、「入浴させる」ことが目的となると間違ったケアに繋がります。
入浴拒否の原因
入浴拒否の原因は人それぞれ違います。拒否の原因を探ることは、対応の仕方を見つける糸口になります。
じっくりと話を聴き、その人の病歴や、性格、生活歴などから原因を探りましょう。
それでは、いくつか入浴拒否の原因を紹介します。
裸を見られることが恥ずかしい
裸を見られることは、誰でも恥ずかしいことです。
それは高齢になっても同じです。中には年をとって筋力がおち、細くなった体が見にくいと感じている方もおられます。
介助者は、そういった気持ちを配慮した声かけや接し方が求められます。
お風呂だと理解できていない
認知症の見当識障害があると、そもそもそこがお風呂だと認識できていないことがあります。
ましてや馴染みのない場所ならその症状はでやすくなります。
どこだか分からない場所で「服を脱いでください。」と言われても拒否するのは当然ですね。
億劫で入りたくない
入浴にはかなりの体力を使います。
高齢になると、体力が落ち疲れやすくなります。入浴するだけでも一苦労です。
介護者はそういった身体面を踏まえた対応が求められます。
自分で入れると思っている
認知症の方は、自分でできないことを認識しておらず、自分でできると思っていることが多いです。
入浴中になぜ関わってくるのか、いろいろ指示されるのかわからず、怒り出してしまう場合があります。
介助者は、そういったことを理解して、できるだけ自立して入れる環境を作るようにしましょう。
入浴に嫌な思い出がある
認知症の記憶障害では、出来事を覚えることは難しいですが、感情は残ります。
無理やりお風呂に入れられたとか浴室で滑って転んだなどの嫌な思い出があると入浴拒否する場合があります。
こんな介助はやってはいけない
無理やり服を脱がしたり、いきなりシャワーをかけるといった行為はやってはいけません。
認知症の方は、記憶障害により何をされたか忘れてしまっても、嫌な感情だけは残ります。
嫌な感情がのこると次からはさらに拒否が強くなり、暴言や暴力といったケースに発展する場合があります。
「でも現場は常にスケジュールに追われていて、一人に時間をかけていられないよ。」といった意見もあると思います。
そこで、次は僕が現場でうまくいった声かけや対応方法を紹介します。
うまくいった声かけ
大切なのは、その人その人との会話を積極的にして利用者を理解すること、信頼関係を築くことです。
ですが忙しい特養のタイムスケジュールでは、そんな時間も作れないし、先輩からの「早くしてよ。」の視線がつらい。
そういった事情で苦労している方へ、僕が現場で使ってうまくいった声かけを紹介します。
うまくいった声かけ➀
お薬を塗るという声かけはとても効果的です。これでお風呂に入ってくれた方はたくさんいらっしゃいます。
うまくいった声かけ②
このように特別感を出すと、入ってくれる方は男性に多かったです。
うまくいった声かけ③
体操や散歩などの後に、この声かけをすると効果的です。
うまくいった声かけ④
娘さんに頭が上がらなかったり、大切に思っている方はこの声かけですんなり入ってくれました。
うまくいった声かけ⑤
ゆず湯や菖蒲湯など特別なお風呂だと、気持ちが高まり入浴してくれることもありました。
うまくいった声かけ⑥
特養に入っている入居者様にとって家族が会いにくることは特別なことです。
そういった機会を使って声かけしてみるのもありです。
いくつかうまくいった声かけを紹介しました。次は入浴拒否の対応の仕方を解説します。
入浴拒否の対応
その人とじっくり話し、その人の性格や病歴、生活歴、など情報を集めましょう。
その中に拒否への対応の糸口が隠れています。
その前提を踏まえて具体的な対応の仕方をいくつか紹介します。
対応する職員を変える 女性→男性 男性→女性
入浴拒否されたら、職員を変えて声かけしてみるのもありです。
異性から入浴介助は恥ずかしいと思う方はたくさんいらっしゃいます。
そんなときは同性から声をかけることが効果的です。
看護師から入浴をお願いする
持病を気にしていたり、健康に気を使ってるいる方なら、看護師から専門的な意見も合わせて入浴の声かけをしてみましょう。
すんなり入ってくれるパターンもよくあります。
足浴・手浴から始める
裸になることが恥ずかしかったり、入浴が面倒で拒否している方は、足浴や手浴から始めましょう。
足浴や手浴を繰り返すことで、職員との信頼関係が深まっていきます。
まずはシャワー浴を目標にしましょう。
バスクリンなどのアマニティグッズで促す
バスクリンを使って浴室にいい香りがただようと、面倒くさがって拒否していた方も入ろうと気持ちが変わることもあります。
タオルで身体を隠す
初めての場所だったり、知らない人がいるところでの入浴は恥ずかしいと感じている人は多いです。
そういった場合には、タオルで身体を隠し、羞恥心を取り除いてあげましょう。
入浴の時間帯を変えてみる
施設では日中入浴介助が行われます。夜入浴する習慣がある方は、日中入浴することに抵抗があります。
そんなときは、夜入浴の声かけをしてみましょう。
拒否強くてどうしても入浴できなかった方が、すんなり入浴されてビックリした経験があります。
忙しいタイムスケジュールで動いている施設で、夜入浴する時間なんか作れない。と思われるかもですが、1回入浴できれば2回目からは日中でも入ってくれます。
自分で入れる環境を作る
自分で入れると思っている方は、介助されることを嫌で拒否されます。
そういう時は自分の力で入れる環境を作りましょう。
浴室までの導線を確保したり、字を大きくしてシャンプーや石鹸を分かりやすくする。
アクアムーブなどを用意して湯船に安全に入れる環境を整えましょう。
といったところです。
僕が実際に試してみてうまくいった方法も合わせて紹介しました。
1回目を気持ちよく入浴できれば、2回目以降は拒否も少なくなり、すんなり入ってくれることが多いです。
間違っても無理やり入浴させることはやめましょう。
2回目以降の拒否がさらに強くなります。
そんな介助自分もされたくないですよね。
清拭で清潔が保てるなら入浴は不要
入浴をしなければいけないと思い込んでいる職員が多いように感じます。
そもそも入浴の目的は、「清潔を保つこと」です。
入浴をしなくても清潔が保てるなら入浴は必ずしも必要ではないです。
清拭やドライシャンプーで清潔が保てるなら、入浴出来ない日があっても問題はないと思います。
でも、家族から入浴の要望ががある時は、どうすればいいの?っという意見もあります。
そんな時は、家族としっかり話しましょう。
状況を説明して、今後の方針や代替え方法を提示できれば、納得してくれない家族はいないはずです。
ちなみにドライシャンプーは水を使わずに洗えるシャンプーです。
シャンプーをして濡れタオルで拭くだけで頭が洗えます。
頭を洗うことを極端に嫌がった入居者さんには、ドライシャンプーで対応しました。
ドライシャンプーでも十分清潔を保持できましたよ。
まとめ:入浴拒否の原因を探って、対応方法を考えよう。
今回は入浴拒否の原因と対応の仕方を記事にしました。
✓本記事のおさらい
入浴拒否の原因
・裸を見られることが恥ずかしい
・お風呂だと理解できていない
・億劫で入りたくない
・自分で入れると思っている
・入浴に嫌な思い出がある
入浴拒否の対応
・対応する職員を変える 女性→男性 男性→女性
・看護師から入浴をお願いする
・足浴・手浴から始める
・バスクリンなどのアマニティグッズで促す
・タオルで身体を隠す
・入浴の時間帯を変えてみる
・自分で入れる環境を作る
今回は以上になります。
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