そんな悩みにお答えします。
✔本記事の内容
・レビー小体型認知症とは?
・レビー小体型認知症の代表的な症状は7つ
・幻視が見えたら要チェック
この記事を読むと、レビー小体型認知症の理解が深まります。知識を得ることは、本人、介護者の双方にとって有益です。なぜなら、知らないままケアをしていても症状の理由がわからず、悪化させてしまったり、事故につながることさえあります。正しい知識を得ることは大切なことです。
こちらの書籍を参考にしています。
レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック: こうすればうまくいく、幻視・パーキンソン症状・生活障害のケア
✔本記事の信頼性
この記事を書いている僕は、介護歴10年。実際にレビー小体型認知症の人のケアを経験しています。なのでこの記事の信頼性は保たれています。
✔こんな方におすすめ
・レビー小体型認知症の家族の介護をしている人
・レビー小体型認知症のケアをしている介護士や看護士
というわけで、レビー小体型認知症の記事を書きました。最後までご覧いただけたら幸いです。
もくじ
レビー小体型認知症とは?
レビー小体型認知症とは、脳の広い範囲にレビー小体という異常なタンパク質がたまることで発生する病気です。主に脳幹にレビー小体がたまるとパーキンソン病になり、脳全体に広がるとレビー小体型認知症となります。原因は不明で、1990年代に発見された比較的新しい病気です。
どれくらいの人がこの病気を患っているの?
レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次ぐ2番目に多い認知症です。脳血管性認知症と合わせて3大認知症と呼ばれています。その数は認知症全体の20%ほどと推測されており、日本全国の患者数は20〜60万人と言われています。高齢の方、70~80歳で発症することが多く、40代と若い方でも発症することがあります。基本的に遺伝することはありません。
どうやって診断するの?
レビー小体型認知症の診断には、問診と画像検査が行われます。
➀医師によって、家族や本人に症状や困っていることの問診がされます。
②問診をした上で、必要な検査を行います。主にMRIや脳血流スペクト検査などの画像検査が行われます。
◎MRI検査:脳が萎縮していないか脳の形を検査します。レビー小体型認知症の人は、脳の萎縮が目立たない場合があり、健康な人と区別がつかないことがあります。
◎脳血流スペクト検査:脳血流スペクト検査では脳内の血流を検査します。画像で脳内の血流の減少を診断できます。この検査によって、今までの画像検査では得られなかったレビー小体型認知症の早期発見につながる情報を得られるとともに、アルツハイマー型認知症との区別もつけやすくなります。
問診表と画像検査の結果を元に日常生活に支障をきたすことが前提で診断されます。
レビー小体型認知症は代表的な症状は7つ
✔レビー小体型認知症の代表的な症状は7つ
代表的な症状
➀幻視と妄想 見えないものがありありと見える
②パーキンソン症状 歩行困難が起こる
③認知の変動 時間帯によって認知能力の良し悪しがある
④レム睡眠障害 睡眠中に奇声や異常行動
⑤自律神経症状 立ち眩み めまし 便秘など
⑥抑うつ症状 無気力 やる気が出ない
⑦薬に対する過敏反応 薬で状態が悪化することもある
レビー小体型認知症の症状とケアを記事にしました。詳しく知りたい人はそちらをご覧ください。
➀「幻視と妄想 見えないものがありありと見える」症状のケア
②「パーキンソン症状 歩行困難が起こる」症状のケア
③「認知の変動 時間帯によって認知能力の良し悪しがある」症状のケア
④「レム睡眠障害 睡眠中に奇声や異常行動」症状のケア
⑤「自律神経症状 立ち眩み めまし 便秘など」症状のケア
⑥「抑うつ症状 無気力 やる気が出ない」症状のケア
⑦薬に対する過敏反応 薬で状態が悪化することもある」症状のケア
レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の主な違い
上の表を確認するとアルツハイマー型認知症との違いが理解できます。幻視や認知の変動、パーキンソン症状があることが特徴的です。
レビー小体型認知症の重症度の分類されている論文はいまのところ存在しません。論文やこれまでの専門家の観察をもとに3段階に分類しました。
レビー小体型認知症のたどる経過
レビー小体型認知症の重症度の分類されている論文はいまのところ存在しません。論文やこれまでの専門家の観察をもとに3段階に分類しました。
初期
初期では、記憶力や判断力などの認知機能の低下は少ないです。手足の震えや小刻みな歩行などのパーキンソン症状。存在しないものが見える幻視。寝ている時に大声を上げたり、暴れるなどのレム睡眠障害。頻尿や便秘、立ち眩みなどの自律神経失調。これらの症状が現れます。
中期
パーキンソン症状や認知機能の変動が激しくなり、悪いときの時間が長くなります。記憶障害や理解力が低下して、周りとのコミュニケーションがとりづらくなります。また、抗精神薬の副作用が激しくなり、量や種類を変えたときなどに症状が一気に悪化することがあります。
後期
パーキンソン症状の悪化で、転倒を繰り返すため、移動の介助や車いすなどの福祉用具が必要になります。また、嚥下機能も低下して、唾液が分泌しずらくなり、喉み植物を詰まらせるリスクがあがり、誤嚥性肺炎にもかかりやすくなります。
レビー小体型認知症の治療法
現時点で、レビー小体型認知症を完全に治したり、進行を止める治療法はありません。ただし、認知機能の低下や変動に対しては、アルツハイマー型認知症の治療薬が有効である場合があり、パーキンソン症状に対してはパーキンソン病の治療薬を使います。
薬物療法
◇ドネペジル
アルツハイマー型認知症に使われている認知機能を改善する薬です。レビー小体型認知症の治療でも認知機能の改善に使われることがあります。
◇レポドバ
パーキンソン症状を改善する治療薬です。
◇抗精神薬
幻覚や睡眠障害などの症状に対して、気持ちを落ち着かせる抗精神薬が処方されます。
処方される薬の一部を紹介しました。レビー小体型認知症は薬物に対する副作用が過敏にでることがあります。量や種類の調整が難しい病気です。
非薬物療法
◇社会との交流
社会との交流や環境を整えることで、認知機能の低下や幻視といった症状を緩和することができます。
◇眼鏡や補聴器などの使用
視覚や聴覚を器具でサポートすることで、転倒のリスクの軽減や幻覚などの緩和が図れます。
◇生活環境の整備
滑りやすい床やドアなどの床、暗い照明といった生活環境を改善することで転倒リスクを緩和できます。
◇機能訓練や体操
ストレッチや運動プログラムの取り組むことで、転倒リスクを緩和できます。
◇車いすや臀部プロテクターなどの福祉用具
長距離などは車椅子を使用したり、プロテクターを着用することで、転倒リスクの軽減が図れます。
◇繊維質の食べ物を摂る栄養の改善
繊維質を摂ることで、便秘の改善が図れます。
✔そこにないものが見える。「幻視」が見えたら要注意!
従来の認知症とは違った症状が現れるのがレビー小体型認知症です。その8割以上に現れる症状がそこにないものが見える幻視です。身近な人に思い当たる点はありませんか?
こんなことを言ってたらレビー小体型認知症を疑ってみよう!
レビー小体型認知症に限らず、病気は早期発見することにより、改善や治療が可能です。ささいな違和感に気づくのは家族です。違和感を感じたら、早めの受診をおすすめします。