介護の仕事

利用者さんから教わった「命を燃やしきる生き方」

皆さんこんにちは!しん(@shinbloger)です。

介護士として、入居者・利用者さんのケアを日々行っている皆さんご苦労様です。

 

この記事を書いている僕は、介護歴10年以上の現役介護士です。

今から5年ほど前、ある女性の利用者さんとの出会いで「どのように生きて、どのように死んでいくのか」とても考えさせられる経験をしました。

 

今回の記事は、その利用者さんとのエピソードになります。

 

その方はIさん。

90歳になられて、3日後に亡くなられた女性の利用者さんのお話です。

 

Iさんとのエピソード

今から5年ほど前、僕が30人規模のデイサービスの相談員をしていたころのお話です。

そのころ、うちのデイサービスの週2回通所していた女性の利用者がIさんです。

 

Iさんの人柄

Iさんの学生の頃は、成績は優秀で常にトップ3には入っていたそうです。

お見合い結婚をされ、3人のお子さんを育てられました。

夫に先立たれ、当時は娘さんのマンションに居候して暮らしておられました。

 

Iさんの趣味は書道です。

般若心経を書くほどの腕前で、書道の個展を開いたこともあるほどの腕前。

素人から見ても、めちゃくちゃうまい。

 

そんなIさんによく言われた言葉があります。

「男は稼がないとだめだよ!」

「家族は大切にしなきゃだめだよ!」

どこにでもありふれた言葉ですが、Iさんが言うと妙に説得力がありました。

 

デイで習字レクをした時の話です。

Iさんが書いた字を見て、「上手ですね。プロ級ですね」と褒めると、Iさんは「何言ってるのよ。そんなに褒めないでよ!」と肩をたたきながら、顔をくしゃくしゃにした満面の笑み。

 

大人びたことを言ったり、子供みたいに照れて笑ったり、そのギャップがたまらなく好きで、僕はIさんを尊敬していました。

 

そんなIさんがよく言ってたことは、「私は、90歳まで生きるからね!」

亡くなる1年ほど前からその言葉を何度も言ってました。

 

Iさんの誕生日は3月2日。

90歳になられて、3日後に亡くなります。

 

3月3日のおはなし

90歳を迎えた次の日、Iさんはデイサービスを利用しました。

娘さんからの申し送りで、「胸が苦しいと言ってます。何か合ったら連絡ください。」とありました。

 

「体調はどうですか?」と聞くと「大丈夫よ。」と笑顔で答えるIさん。

バイタル的にも異常はなく、他の方と一緒に過ごしておられました。

「具合が悪くなったらすぐに言ってね。ベッドで休めるからね。」と声をかけて離れました。

 

お昼前に娘さんから電話がありました。

「母の様子はどうですか?具合が悪いなら休んでいいんだよ。病院いこう。って声をかけたんですけど、どうしても行くってきかなくて。」

 

僕は、デイでの様子やバイタルなどをお伝えし、「何かあったらすぐ連絡しますね。」とお答えしました。

普段娘さんから電話がかかってくることなんかないので、若干の違和感を感じました。

 

その日の午後のレクは、吊り雛短冊作りでした。

当時の写真がないので、Amazonから抜粋してきました。

Amazonでこの吊り雛短冊キッドを購入すると、1500円以上します。

 

当時の女性職員は、布切れなどをを使用して、予算200円以下に抑えてくれました。

しかも完成度はキッドで作ったものとほぼ同じです。

当時の職員スゲー!

 

Iさんは、吊り雛短冊を真剣な顔で作ってました。

一心不乱に、分からないところは職員に聴きながら。何かにとりつかれたように。

胸が苦しいはずなのに、やめようとしません。

 

そして完成。

皆で大喜び!

 

Iさんも「やったー!できたー!」と満面の笑み。

達成感のある表情。

 

「これで思い残すことはないわ。」

「何言ってるんですか?まだまだ長生きしますよ。」女性職員とのやりとり。

 

その日は、その後も何ごともなく自宅へ帰られました。

 

3日後、ケアマネからのTEL

週明けの3日後、Iさんの担当ケアマネから電話がありました。

「Iさんが亡くなりました。」

最初はマジで冗談だと思いました。

いや冗談にしてはたちが悪すぎる。

 

「私も信じられなかったんですけど、亡くなられたそうです。

デイの次の日病院を受診したそうです。

加齢によるものだろうとの診断。

お薬も処方なく自宅へ戻ったそうです。

そして、次の日の朝、布団の中で冷たくなっているIさんを娘さんが発見したそうです。」

ケアマネは説明してくれました。

 

2か月後、お線香をあげにいく。

1か月ほどたったころ、娘さんのマンションへお線香をあげにいかせてもらいました。

遺影の前で合掌。

 

娘さんがこんな話しをしてくれました。

「死んだのがまだ信じられないんです。

部屋も片付けられなくて、そのまんまなんです。

隣の部屋にいるんだから、苦しいって言ってくれたら、助けてあげられたのに。。。」

 

施設に戻り、職員とこんな話しをしました。

「Iさんは、自分で亡くなるタイミングを決めてたんだね。

思い残すことなく、あの世へ行ったんだよ。」

 

Iさんから教わったこと

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Iさんとの出会いで教わったことは2つです。

〇死ぬタイミングは自分で決めれる

〇思い残すことなく旅立つことの大切さ

 

不謹慎かもですが、Iさんの亡くなり方は、カッコいいと思いました。

自分できめて、命を燃やしきって旅立つ。

 

そんな死に方をするために

命を燃やし尽くすためにすべきことは

今、何をすべきなのか

 

とても考えさせられる出会いでした。

 

今回は以上になります。

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