そんな悩みにお答えします。
介護記録は、スタッフ間の情報共有のため、また質の高い介護サービスを提供するためには欠かせないものです。
とはいえ、忙しい介護職が介護記録の書き方を教えてもらう時間などなく、他の人の介護記録をマネして書いている方がほとんどだと思います。
そのため、正しい書き方ができていない介護記録が多くあります。
この記事では、介護記録の書き方を良い例と悪い例を比較しながら、解説付きで紹介していきます。
記事を読めば、介護記録の書き方がわかるようになるはずです。
ちなみに、介護記録で即使える表現集をまとめた記事はこちらです、
✓本記事の信頼性
もくじ
介護記録を書く時のポイント
介護記録の書き方の法的な規定はありません。
とはいえ、提供したケアの内容が適切に書かれていないと、監査で指導を受けることもあります。
また、その後のケアに活かすこともできず、介護記録を書くことが意味のないものとなってしまいます。
そこで、介護記録を書く時のおさえておくべきポイントを紹介します。
上記のポイントを意識して書くことで、質の高い介護記録が書けるようになるはずです。
ちなみに、介護記録を書くための目的や上手に書くためのポイントをまとめた記事はこちらです。
【シーン別】介護記録の良い例と悪い例を解説付きで紹介
それでは、介護記録の具体例をシーン別で良い例と悪い例を比較しながら解説していきます。
食事の場面
悪い例
12:00 鈴木さんは、➀食欲がない様子だった。②途中でスプーンを置いてしまった。③主食2/3 副食2/3 汁全量摂取。 途中からスタッフが介助
➀スタッフの推測で「食欲がない様子」とは書かない
②本人の言動(発した言葉など)を詳しく書く
③食事量だけでなく、具体的な食材も書く。重要なのは嗜好を知ること。好きな物なのに残しているならそこに重要な理由が潜んでいる
良い例
12:00 鈴木さんの体調・表情は良い。➀はじめに「食欲がない」を話していたが、配膳された昼食をゆっくり食べ始める。 しかし、②スプーンがうまく使えずにイライラして、「ご馳走様」とスタッフに話し、スプーンを置く。 スタッフが「一緒にだべましょう」と声かけし、③介助にて主食のご飯2/3 副食の焼き魚とみそ汁を全量食べた。
入浴の場面
悪い例
10:30 入浴前はいつもと➀変りなし、安全を確認しながら②介助をおこなった
11:00 入浴後、③水分を補給した。少しつかれた様子
➀「変わりなし」という表記ではなく、変わりなくどんな様子だったのか具体的に書く
②全介助なのか部分介助なのか分からない書き方はしない
③何をどのくらい飲んだのか記録する
良い例
10:30 ①入浴前のバイタルサイン:血圧132/80mmhg 脈拍67回/分 体温36.4度で異常なし。「大好きなお風呂だね。体調はいいよ。」と話す。②介助にてゆっくりと服をぬいだ。本人がタオルで顔をふき、身体の前面をタオルに石鹸をつけて洗った。それ以外の部位と髪をスタッフがあらった。湯船につかると「気持ちいい ずっとはいっていたい」と話していた。
11:00 入浴後の③スポーツ飲料をすすめると、コップ1杯分(150ML)を飲みながら、「長湯したかな、少し疲れた」と話した
口腔ケアの場面
悪い例
19:30 夕食後の口腔ケア。➀自分で歯を磨くと言い張る。 しかし、歯ブラシが動かさない。義歯をはずそうとしたが口をあけない。 ②いつものわがまま。③5分後やっと口をあけたので、義歯を預かる
➀ネガティブな視点ではなく、ポジティブな視点で書く
②スタッフの私情や感情はなるべく書かない。
③どう対応したらそうなったのか利用者との関わりやプロセスを書く
良い例
19:30 夕食後に佐藤さんの口腔ケアを行う。➀通常はスタッフが介助を行うが、本人の意志により、今日は自身で歯ブラシを持つ。腕がなかなか口元までとどかず、スタッフが手を添えて介助する。途中からはスタッフが歯ブラシをもち、介助する。義歯のあたる箇所の口内炎は関知していないが、麻痺側ということもあり、「痛くない」と話す。スタッフが、「入れ歯外しますよ」と声かけして、義歯を外そうとするが、口があかなかった。②「このまま寝たい」と話す。③「きれいに掃除したいので、お預かりしますよ。」と言うと、「そうかい」と話し口があいたので、義歯を外して預かる
整容・更衣の場面
悪い例
14:00 家族の殻の要望で酒田さんの両手両足の爪切りを行うが、➀「痛い」と叫んだりしている。②爪切りがイヤなのかもしれない。③少し時間がかかったが④どうにか全部切り終えた。
➀「痛い」と叫んだ原因やその後の対応の仕方も具体的に書く
②爪切りがイヤだったのかわからない。事実かどうかわかならい推測で書かない
③具体的な時間がわかるように書く
④「どうにか」といったスタッフの感情がこもった書き方はしない
良い例
14:00 入浴後、長女の要望で酒田さんの両手両足の爪切りを行う。➀途中「痛い」と話すので、「大丈夫ですか」と声かけするも、酒田さんは顔そしかめるだけで返事がない。②一度爪切りを置いて手をさするがキズなどはない。酒田さんの表情がやわらいだので、「親指から切りますね」を声かけしながら再度ゆっくりと爪を切った。「足の爪も切りますね」と言うと「痛くしないで」と話すので「気を付けて切りますから安心してください」と話し、③15分ほどですべて切り終えた。④酒田さんもホッとした表情となり、「ありがとう」と話した。
服薬確認の場面
悪い例
18:00 ➀最近、②食べ物を吐き出すことが多い。薬も嫌がるようになっているので、おかずに混ぜて飲ましたが、③全部吐き出してしまった。
➀「最近」という曖昧な表現ではなく、解る範囲で具体的に書く。
②食事の内容がイヤなのか、薬がイヤなのか原因を探る
③なぜ吐き出すのか原因を探る
良い例
18:30 食事は全介助だが、➀1週間ほど前からそしゃく時間が長くなり、なかなか飲み込めない。②昨日までは「お茶を飲みますか」と声かけすると、お茶と一緒に飲みこんでいたが、今朝はお茶には手を付けず、摂れーに全部吐き出す。その後は食べ物を口元に近づけても口が開かない。「もう、いりませんか?」と声かけするも返事はなく、食後の粉薬を服用していただこうとしたが、口が開かなかったので、リーダーに相談し、③宮本さんのお好きなデザートのゼリーに混ぜて服用を確認した。
排泄の場面
悪い例
7:30 山田さんから➀コールあり。②排泄介助。トレイへ行くも③排便(-)2日間便が出ていない。すぐに便座から立ち上がろうとするので、④介護スタッフが声かけし、もう一度座ってもらう。⑤しばらくすると⑥排便(+)
➀コールはどんな訴えだったのか書く
②どのような状況で排泄介助したのか具体的に書く
③介護記録の文章と記号を混ぜて書かない
④どのような声かけをしたのか書く
⑤「しばらく」ではなく具体的な時間を書く
⑥記号で書かない
良い例
7:30 山田さんからコールがあり、➀「トイレに行きたい」と申し出があった。スタッフが居室へうかがい、②手引き歩行でトイレに移動したが、排便はない。すでに③2日間便が出ていない。座ってすぐに「うんこが出なかった。お腹が張るような気がする」と話し、便器から立ち上がろうとしたので、④スタッフが「もう少し頑張ってみましょう」と声かけをした。再度座ってから⑤5分程すると少量⑥(ピンポン玉2個)ほどの排便を確認した。
今回は以上になります。